著者
岡田 靖 山口 武典 田代 幹雄 峰松 一夫 緒方 絢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1294-1299, 1987

36才,男性.頭痛,発熱,意識障害,けいれんで発症し,入院時(8病日),体温38.2°C,傾眠状態,顔貌無欲状,項部硬直あり. CT上,両側側頭葉に不整形の低吸収域を呈し,血清抗体価(CF法)も有意の上昇(4→512倍)を示し,単純ヘルペス脳炎(HSE)と診断した.昏迷状態から約4カ月間,ほとんど無言無動状態で経過した.しかし, 120病日前後より発語がみられ,経口摂取,四肢麻痺の軽減など著しい改善とともに,口唇傾向,食行動異常,性欲亢進,情緒変化がみられ, Klüver-Bucy症候群(KBS)を呈した. HSE生存患者の長期的観察および看護の重要性を強調するとともに, HSEに合併したKBSについて文献的考察を加えた.