著者
岡野 晋 田原 信
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.151-154, 2016 (Released:2016-11-24)
参考文献数
18

甲状腺未分化癌は極めて進行が早く予後不良な疾患である。初診時すでに進行例となっていることも多く,唯一の根治的な手術療法を行うことが不可能な際には,緩和的放射線療法や施設毎の薬物療法が行われてきた。また,薬物療法に関する標準治療は確立しておらず,例え積極的な治療を行っても,その治療成績は満足できるものではなかった。近年の研究により,甲状腺癌に関連する増殖因子とその受容体,遺伝子の異常によるシグナル経路の活性化などが解明される中,基礎的な研究結果に基づいた新規薬剤の開発も行われ,甲状腺癌に対する薬剤が相次いで保険承認されている。その中でも特筆すべきは,未分化癌に対しても使用可能な薬剤の登場であり,レンバチニブは分化型甲状腺癌のみならず,未分化癌に対してもその有用性が確認されている。未分化癌に対する分子標的治療薬の開発状況,そしてレンバチニブの有用性に関して述べたい。
著者
山崎 知子 田原 信 高見 博
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.48-54, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
47
被引用文献数
1

近年,各癌腫にて分子標的治療の開発は目覚ましく,多くの分子標的治療薬が臨床に登場している。甲状腺癌においても近年分子標的薬の開発がとても目覚ましい。2013年ASCO(American Society of Clinical Oncology)にて放射性ヨード治療抵抗性の局所進行または転移を有する分化型甲状腺癌(Differentiated thyroid cancer以下DTC)に対してもSorafenibがプラセボとの比較にて統計学的有意に無増悪生存期間(PFS)で延長を示した。そのほかLenvatinib,Vandetanibに対する臨床試験が進行中である。甲状腺髄様癌(MTC)に対してVandetanibがプラセボとの比較にて統計学的有意に無増悪生存期間(PFS)を延長することが示され,欧米(FDA,EMA)ではすでに承認されている。従来の細胞障害性抗癌剤ではみられない副作用も観察されるため,副作用発現情報や対応方法の知識が重要である。
著者
田原 信
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.110-114, 2020 (Released:2020-09-02)
参考文献数
21

現在,検出された腫瘍の遺伝子変異に応じて分子標的薬を処方するがんゲノム医療が様々な癌腫にて進展している。甲状腺がんにはBRAF,RET,NTRKなどのactionableな遺伝子異常の頻度が他の癌腫と比較して高い。しかし,承認されている薬剤は,NTRK阻害剤のみであり,現時点では効果の期待できる治療薬にたどり着くには数多くのハードルが待っている。RET癒合遺伝子を有する甲状腺がん,RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がんに対しては,RET阻害薬の治験が進行中である。BRAF V600E変異又はALK癒合遺伝子を有する場合には,患者申出療養下の医師主導治験に参加可能であれば,薬剤の提供を受けることができる。個別化医療を推進するためには,初回治療時の遺伝子異常検査,トランスレーショナルリサーチ,臨床研究のための施設整備,多施設共同研究などを進めていく必要がある。
著者
田原 信三
出版者
解放社
雑誌
新世紀 (ISSN:13447904)
巻号頁・発行日
no.217, pp.166-180, 2005-07