著者
萬代 武史 猪狩 勝壽 田原 秀敏 芦野 隆一 守本 晃 浅倉 史興
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.複数のフックス型変数をもつ線形偏微分方程式(複数の超曲面で退化した偏微分方程式の典型)について,フックス型変数については正則で,その他の変数についてはジュヴレイクラスに属するという関数のクラスで大域的な解を構成する問題について,アルジェリアのMechab氏,Belarbi氏と協力して構成することに成功した.2.上記方程式に関する滑らかな零解の存在について,ある種の双曲性の仮定のもとで,1,2階の場合にはかなり一般な条件のもとで,また高階の場合には典型的な方程式について,存在を示すことができた.3.Blind Source Separationの問題(複数のソース信号が混じっている観測信号から元のソース信号を分離する)で,3つ以上のウェーブレットを用いる方法について,2つの場合との比較などを行い,有効性を確認することができた.また,信号差をもって混ざっている場合について,東京理科大の佐々木文夫教授との協力のもと,解析信号(analytic signal)になっているウェーブレット関数を用いた方法について,具体的なアルゴリズムの詳細,理論的な裏づけの考察、シミュレーションなどについて,ほぼ最終的な形が得られた.これらの結果は2008年度中に論文にまとめる予定である.4.信号のフーリエ像の「中心」,「幅」について,どのような定義がもっとも適切であるかという問題について,数学的観点およびウェーブレット解析の観点から考察を進め,特に「不確定性原理」の修正について部分的な結果と言いうる不等式が得られた.
著者
加藤 昌英 辻 元 田原 秀敏 横山 和夫 青柳 美輝 山田 美紀子 谷口 肇
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本年度(補助金が交付されてきた期間を含む)に行った研究によって得られた結果は以下のとおりである。1.複素3次元射影空間のある種の領域(「広い領域」)の商多様体の分類に関して次のことが分かった。すなわち(1)この問題を(複素1次元の)クライン群理論の高次元化(奇数次元のみ可能)と考えた。特に複素3次元の場合には、Grassmann多様体G(4,2)に作用する群と考えることによって、うまく問題の定式化(2)クライン群理論における初等型の群に対応する部分の複素3次元版がほぼ完成した。ここで初等型の群とは3次元射影空間の稠密な領域に作用する「端点(end)」が有限である群と定義する。特に固有不連続な開集合の商空間が正の代数次元を持つコンパクトな成分を少なくともひとつ持てば、固有不連続な開集合は3次元射影空間の稠密な領域であって、クライン群は初等型になることが示された。同時に商多様体も有限不分岐被覆を除いて分類された。ここの議論では、(非Kaehler多様体を含む)複素多様体への正則写像の、S.Ivashkovichによる拡張定理が有効に用いられる。現在、発表のための草稿の作成と、証明の改良(なるべく概念的な証明に直すこと)を行っている。が出来ることがわかった。これによって基礎になる種々の概念が固まった。2.複素多様体がprobableになるための良い十分条件を求める問題についてはまだ手がついていない。複素射影構造が特異点集合の持つ場合の考察についても進歩がなかった。ともに今後の課題である。