著者
芦野 隆一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.73-79, 2020-01-24 (Released:2022-01-25)
参考文献数
18
著者
守本 晃 芦野 隆一 萬代 武史
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

パーティ会場のような,複数の音声やノイズの混じった喧噪な環境でも,我々は会話を楽しめる.つまり,入り混じった音声信号から特定の話者の会話を分離できる.この聴覚の能力をカクテルパーティ効果という.カクテルパーティ効果を工学的に解釈すると,複数個のセンサーで捉えた複数の観測信号から信号源の個数と位置を決定し信号源を再構成する逆問題になる.この逆問題をブラインド信号源分離と呼ぶ.これは自動受け答えロボットなどを開発する際には,「だれがどんな質問をしているのか」を特定するために必要な技術である.従来の研究は,独立成分分析という手法を用いて信号源分離を行ってきた.ブラインド信号源分離問題は,信号源と観測信号の間の数理モデルに対して,空間的混合問題,時間的混合問題,時空間的混合問題の3種類に分類される.本研究課題では,ウェーブレット解析という信号を時間と周波数の情報に分離する方法論を用いて信号源分離問題を取り扱った.空間的混合問題と一番簡単な時空間混合問題に対しては,数値シミュレーションを行い,我々の提案した方法の利点が1.信号源の数が最初に推定できること2.推定した信号源の数を用いて,他のパラメータも高精度に推定できること3.再構成した信号源の誤差が小さいことであることを確認したさらに空間的混合問題の場合に,複数種類のウェーブレット関数を用いることでノイズに対して精度良く分離できることも示した.時空間分離問題の場合には,信号の到着時間の時間差から信号源の位置を推定する方法について考察した.また,解析信号とウェーブレット解析・短時間フーリエ変換の関係についても調査した.
著者
萬代 武史 猪狩 勝壽 田原 秀敏 芦野 隆一 守本 晃 浅倉 史興
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.複数のフックス型変数をもつ線形偏微分方程式(複数の超曲面で退化した偏微分方程式の典型)について,フックス型変数については正則で,その他の変数についてはジュヴレイクラスに属するという関数のクラスで大域的な解を構成する問題について,アルジェリアのMechab氏,Belarbi氏と協力して構成することに成功した.2.上記方程式に関する滑らかな零解の存在について,ある種の双曲性の仮定のもとで,1,2階の場合にはかなり一般な条件のもとで,また高階の場合には典型的な方程式について,存在を示すことができた.3.Blind Source Separationの問題(複数のソース信号が混じっている観測信号から元のソース信号を分離する)で,3つ以上のウェーブレットを用いる方法について,2つの場合との比較などを行い,有効性を確認することができた.また,信号差をもって混ざっている場合について,東京理科大の佐々木文夫教授との協力のもと,解析信号(analytic signal)になっているウェーブレット関数を用いた方法について,具体的なアルゴリズムの詳細,理論的な裏づけの考察、シミュレーションなどについて,ほぼ最終的な形が得られた.これらの結果は2008年度中に論文にまとめる予定である.4.信号のフーリエ像の「中心」,「幅」について,どのような定義がもっとも適切であるかという問題について,数学的観点およびウェーブレット解析の観点から考察を進め,特に「不確定性原理」の修正について部分的な結果と言いうる不等式が得られた.