著者
本間 雄一 原田 大 日浦 政明 成田 竜一 阿部 慎太郎 田原 章成
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.615-619, 2010 (Released:2010-12-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

症例は45歳,男性.2008年12月下旬より両側下肢から始まる皮疹が出現し,全身へ拡大した.肝機能障害を認め,HBs抗原120.4 S/Nで,IgM-HBc抗体は1.4 indexと軽度上昇,HBe抗原202.3 S/CO,HBe抗体0.0%,IgG-HBc抗体は原液96.0%,200倍希釈16.4%でありB型急性肝炎と診断した.また経過から皮疹はB型急性肝炎に伴うGianotti-Crosti症候群と診断した.入院にて,肝炎の改善とともに皮疹の消退を認めた.Gianotti-Crosti症候群は小児に多く,成人では比較的稀と認識されているが,成人での報告もある.近年,本邦では稀であった成人のB型急性肝炎からの慢性化が増加しており,B型急性肝炎を適切に診断することは重要である.肝炎の症状が軽微な症例もあるため,Gianotti-Crosti症候群のように特徴的な症状をみた場合は注意が必要である.
著者
本間 雄一 原田 大 日浦 政明 成田 竜一 阿部 慎太郎 田原 章成
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.615-619, 2010-11-25
被引用文献数
1

症例は45歳,男性.2008年12月下旬より両側下肢から始まる皮疹が出現し,全身へ拡大した.肝機能障害を認め,HBs抗原120.4 S/Nで,IgM-HBc抗体は1.4 indexと軽度上昇,HBe抗原202.3 S/CO,HBe抗体0.0%,IgG-HBc抗体は原液96.0%,200倍希釈16.4%でありB型急性肝炎と診断した.また経過から皮疹はB型急性肝炎に伴うGianotti-Crosti症候群と診断した.入院にて,肝炎の改善とともに皮疹の消退を認めた.Gianotti-Crosti症候群は小児に多く,成人では比較的稀と認識されているが,成人での報告もある.近年,本邦では稀であった成人のB型急性肝炎からの慢性化が増加しており,B型急性肝炎を適切に診断することは重要である.肝炎の症状が軽微な症例もあるため,Gianotti-Crosti症候群のように特徴的な症状をみた場合は注意が必要である.<br>
著者
久米井 伸介 柴田 道彦 本間 雄一 松橋 亨 日浦 政明 大西 裕 阿部 慎太郎 田原 章成 原田 大
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.814-820, 2012 (Released:2012-12-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

症例は42歳男性.20歳頃より記銘力障害や軽度の人格障害が出現し,30歳頃より暴言,被害妄想を認め,統合失調症と診断され内服加療をされていた.2010年12月に原因不明の肝硬変及び肝機能障害を指摘され,非アルコール性脂肪性肝炎及び薬物性肝障害と診断された.治療を受けていたが2011年1月より歩行障害,転倒,動作緩慢を認め薬剤性パーキンソニズムが疑われ,肝硬変の精査とともに当院を受診した.Kayser-Fleischer角膜輪の存在,血清セルロプラスミン低値,尿中銅排泄量の増加,肝生検での肝硬変の所見と肝組織中銅含量増加ならびに頭部MRIにて大脳基底核の信号異常を認め,一連の精神,神経症状と合わせて肝神経型のウイルソン病と診断した.Trientine hydrochlorideと酢酸亜鉛の内服及びリハビリテーションの開始により,肝機能ならびにパーキンソニズムや精神症状は徐々に改善を認めている.