著者
田口 めぐみ 宮坂 道夫
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.350-358, 2019

<p><b>目的:</b>看護師が自己規範とチーム規範との不一致によって経験するジレンマの内容,ジレンマ対応の様式,対応に影響を及ぼす因子を明らかにする.</p><p><b>方法:</b>ジレンマの内容と経験および対応について,看護経験2年以上の看護師21名にインタビューを行い,構造的ナラティヴ分析とテーマ的ナラティヴ分析を組み合わせた分析を行った.</p><p><b>結果と考察:</b>構造的ナラティヴ分析の結果から,ジレンマを経験した際の対応は,イ)ジレンマに対してチーム規範に則って行動した,ロ)-①ジレンマに対して個人の可能な範囲で行動した,ロ)-②ジレンマに対して小集団から同意を得られた場合に行動した,ハ)-①ジレンマに対して自己規範に則って行動したがチーム規範に変化をもたらさなかった,ハ)-②ジレンマに対して自己規範に則って行動しチーム規範に変化をもたらした,に分類できた.テーマ的ナラティヴ分析の結果から,ジレンマ対応に影響を及ぼす因子は,看護経験年数,異動経験の有無,周囲との対立回避,賛同者の獲得,役割意識に基づく行動であった.患者の多様なニーズへの対応には,看護師個人とチームの相互における継続的な検討が必要である.</p>