著者
清水 光 田口 直幸 草刈 玄
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.11-19, 1999

インプラント周囲組織の創傷治癒促進を目的として, 低出力レーザーが骨形成ならびに歯肉創傷治癒に与える影響を検索した. また, インプラント周囲炎の治療として, CO<SUB>2</SUB>レーザーのインプラント体表面に付着した細菌に対する殺菌効果を検討した。<BR>低出力レーザーは骨修復初期において細胞の増殖過程に影響を与え, 骨修復を促進する環境を作ることが示唆された. 培養骨芽細胞に対しては, DNA合成とALP活性の上昇をもたらした, 歯肉創傷治癒に関してはコラーゲン代謝回転の促進, プロα1 (I) コラーゲンmRNA量の促進が認められた. 以上の結果から, 低出力レーザー照射は, 骨組織および軟組織修復促進を目的とした治療法として有用であることが示唆された.<BR>CO<SUB>2</SUB>レーザーはS. sanguisとP. gingivalisをそれぞれ286, 245J/cm<SUP>2</SUP>で100%殺菌した. また, チタン表面に変化を与えず, 過大な温度上昇がなく, 照射スポット外の細胞に障害を与えることがなく, 照射スポット内に対する細胞付着, 増殖も阻害は見られなかった. 以上の結果から, CO<SUB>2</SUB>レーザーはインプラント体表面に付着した細菌を殺菌することを目的とした治療法に応用できることが示唆された.