著者
栗栖 悠貴 後藤 雅彦 田口 綾子 研川 英征
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.134, 2020 (Released:2020-03-30)

近年激甚化・頻発化する自然災害に備えるためには,地域の災害に対する危険性を我が事として理解しておくことが重要である.国土地理院では,従来から土地の成り立ちに関する情報(地形特性情報等)を通して地域の危険性について発信してきた.しかし,これらは地形分類など専門性が高く,危険性を実感しにくいため,十分に伝わりにくいという課題があった.そこで,国土地理院は,防災意識を高め,地域全体の防災力を底上げするためには防災教育・地理教育が重要であるとの認識にたち,教育現場で活用可能なわかりやすいコンテンツの整備に取り組んでいる.その中で,令和元年6月19日より国土地理院のウェブ地図「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/)に自然災害伝承碑の掲載を開始した.自然災害伝承碑には災害の様相や被害の状況などが記載されているため,地域に暮らす住民が災害の危険性を身近に感じやすい有力なツールになる.しかし,現在の教育現場では,教材の研究,作成をする時間が少ないことが原因で,有用な情報であってもすぐ使える形になっていないと活用されない傾向がある.そのため,自然災害伝承碑も授業ですぐに使えるコンテンツとして提供する必要がある.本報告では,「地理教育の道具箱」(https://www.gsi.go.jp/CHIRIRIKYOUIKU/index.html)に掲載しているコンテンツを例に自然災害伝承碑を活用した防災・地理教育支援について紹介する.