著者
西村 仁志 田坂 和之 川西 康友 村瀬 洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.1004-1012, 2019 (Released:2019-08-26)
参考文献数
23

カメラ映像中の物体追跡では,物体の変形・遮蔽・回転等,様々な見えの変化が起こる状況でも高精度に追跡し続けることが求められる.本論文では,識別能力の高い相関フィルタと見えの変化に頑健な時系列フィルタを組み合わせた物体追跡手法を提案する.両フィルタを同時利用するために,相関フィルタによって得られた応答マップをパーティクルフィルタの観測モデルとして使用する.相関フィルタは,追跡している矩形領域をもとにパラメータを更新する.そのため,見えの変化が起こった際,追跡している矩形領域が追跡対象からずれ,誤った矩形領域を用いてパラメータを更新してしまう.提案手法では,追跡信頼度の低下によって見えの変化を検知した場合は複数の相関フィルタで追跡を行い,パーティクルフィルタの枠組みを用いて確率的に相関フィルタの更新を行う.これにより,誤った矩形領域を用いた相関フィルタの更新を低減する.実験では,追跡のAUCスコアについて,ベースライン手法が38.38%であったのに対し,提案手法では40.64%に向上し,提案手法の有効性が確認された.