著者
田岡 三希 佐藤 哲 鎌田 勉 奥村 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.82-90, 1988-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
8 11

1 北海道の大黒島でコシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの鳴声がどのような状況で発せられるかを調べた。2 鳴声のレパートリーは主にChatter-call,Purr-call,Screech-callの三種で各々雌雄共に鳴く。このうちPurr-callとScrreech-callは特定の状況下でのみ鳴かれ,状況特異性が見られた。3 Purr-callが鳴かれる巣穴には必ず雄,雌の二羽がおり,また卵や雛はいない。従って,この鳴声は求愛行動や番形成に関係していると思われる。4 Screech-callは同性の二羽の間で鳴かれ,おそらく闘争に伴って鳴かれる鳴声と思われる。5 Chatter-callは様々な状況下でまた他の鳴声と共に鳴かれるが,飛翔個体はほとんどこの鳴声しか鳴かない。しかしながら,Chatter-callの鳴かれる状況をそれに伴って鳴かれる鳴声に従って分類すると状況特異性が見られた。このことはこの鳴声が状況の違いにより複数の機能を持ちうることを示唆する。事実,この鳴声の再生実験を巣穴中の個体に対して行ったところ,様々な反応を誘起した。