著者
斎藤 公明 栗原 治 松田 規宏 高原 省五 佐藤 哲朗
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.93-112, 2016-02-15 (Released:2016-02-15)
参考文献数
51
被引用文献数
1

福島事故に起因する被ばくにおいて重要な位置を占める外部被ばくの線量評価に関する最新の知見を紹介する。まず,外部被ばく線量評価の基本的な考え方を提示し,空間線量率に基づく線量評価ならびに個人線量計を用いた測定の長所と問題点について基礎データを示しながら議論する。また,事故後に行われてきた主要な外部被ばく線量測定・評価の試みについてまとめる。さらに,線量評価の新たな試みについても紹介する。
著者
薄井 春香 佐藤 哲也 北口 紗織
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-23-00015, (Released:2023-10-18)
参考文献数
43

This research focuses on picture books, a medium for childhood reading, during which gender stereotypes are formed. The colors of the clothing of characters in picture books and the words they utter reveal characteristics of gender expression. The results showed that gender and age were among the most prominent characteristics in depicting characters in picture books, with red used more frequently for females and less bright shades for males. The proportion of colorful colors was higher among children, and the ratio of achromatic colors increased with age. These results are consistent with previous studies on color images and the evolution of color preferences with age. In the text, it was found that the differences between men and women in the way they perceive things are reflected in the text. These results suggest that picture books may influence the formation of children’s gender images and color preferences.
著者
佐藤 哲彦
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.57-75,157, 1996-02-29 (Released:2016-12-22)

The purpose of this study is to describe the process whereby the continual use of philopon was defined as both a crime and a disease after World War II in Japan. (Philopon is a drug containing Phenylisoproplymethylamin which is called 'speed' in the United States) I use a model advanced by Conrad and Schneider in Deviance and Medicalization (1980/1992) to delineate this process. And this process proceeded as follows: 1 definition: Philopon was abused by those whom the medical profession thought to be immoral, for example, novelists, dancers, standup-comedians, etc. 2 prospecting: Some members of the medical profession discovered the intoxication factors in philopon after the death of a famous standup-comedienne. After her death, many studies about philopon intoxication emerged suddenly. 3 claim-making: The Japan Medical Association claimed that philopon should be controlled by the medical profession, implying that all medicine should be under its control. The Osaka Medical Association claimed that, for reasons of the public health, philopon should be prohibited, implying that the medical profession should be one of the first agencies concerned with public health. Some psychiatrists claimed that the continual use of philopon is a social problem, implying that psychiatrists should have the authority to make judgments about public health. Police claimed that philopon is a cause of many other crimes, implying that they could better maintain the social order if philopon were prohibited. 4 legitimacy: The goverment regarded the problems of continual philopon use as medical problems, so it regulated the traffic of philopon. And the medical profession, especially psychiatrists, were supported by a movement for public health, especially mental health. 5 institutionalization: The law prohibiting philopon was based mostly upon medical intoxication designation after an assault case in Saitama Pref. 6 re-claim-making and re-institutionalization: After a case of assault against a child, the law was reformed to prohibit philopon use more strictly, and the mental health law was also reformed to keep users off the streets. I suggest through the analysis of this process that in Japan (1) the medical profession tends to speak about the area of morality, (2) the medical designation of deviance can set the stage for criminal designation, and (3) legitimacy is achieved in the governmental bureaucracy rather than in the courtrooms or legislatures.
著者
井口 恵一朗 鶴田 哲也 高橋 大輔 佐藤 哲
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-5, 2009 (Released:2009-02-11)
参考文献数
13
被引用文献数
5 4

稲田養魚に対する一般意識を知るために,炊飯米の味覚官能試験を実施した。無農薬の実験田にフナ放養区と対照区を設けてコメを栽培した。アミロース,デンプン,タンパク質含有率について,フナ米と対照米の品質に大差はなかった。84 名の被験者を動員して,慣行栽培米を基準に,両試験米の食味を比較した。コメの出自を伏せた試験結果に差異は検出されず,出自を開示するとフナ米が高い評価を得た。食の安全と環境の保全に敏感な消費者は,コメとフナの双方の生産に資する稲田養魚に対して,良好なイメージを抱いていることが推測された。
著者
新井 信之 内山 範夫 佐藤 哲郎 佐藤 とも子 植田 さおり 渡辺 和美 大谷 知子 須田 剛
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-14, 2007-03
被引用文献数
1

目的:精神障害者生活訓練施設における精神障害者の賃貸アパート契約に至るまでの支援内容とその実際から,住宅確保に向けた課題を明らかにする。方法:T援護寮を退所し単身生活をはじめた29名を対象に,担当職員9名への半構造化面接及び利用者個人記録の内容を項目ごとに整理し、その人数を比較した。研究期間は2001年10月から2002年2月である。結果:対象者の診断名は統合失調症が最も多く24名で,その他は神経症,躁鬱病,人格障害などであった。年齢は平均41.2歳で,最年少20歳,最高齢65歳であった。賃貸アパートに退所した25名(86%)の経済基盤は障害年金や生活保護費の受給が主で,賃貸アパートの契約時に申告する職業がなく,また家族関係の悪化から保証人を家族に依頼できない者も5名いた。更に21名が精神疾患の罹患が契約上不利になると判断し病気を隠していた。結論:精神障害者の賃貸アパート契約では,家賃支払いの基盤となる就労先や保証人の確保,精神疾患に罹患しているという事実の扱いが大きな課題となっていた。今後の支援では,就労先の確保,保証人協会などの保証人制度の充実など具体的かつ実際的な支援の充実の必要性が示唆された。
著者
瀧口 述弘 高松 昇三 佐藤 哲也 雉子牟田 美香 庄本 康治
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
pp.21-21, (Released:2023-01-30)

背景:慢性腰痛患者には運動療法を実施すべきと報告されているが,運動時痛により運動が十分に行えていない患者が多い.経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation)は,慢性腰痛患者にも実施されているが,運動時痛に対する効果を検証した報告は少ない.また,TENSは周波数により鎮痛機序が異なるが,腰部運動時痛に対する最適な周波数も明らかではない.本研究の目的として,腰部運動時痛に対するTENSの効果と最適な周波数を明らかにすることとした.試験デザイン:ランダム化比較試験.方法:対象は慢性腰痛患者80名であり,高頻度TENS群(100 Hz),変調TENS群(10-100 Hz),プラセボTENS群にランダムに割付け,TENS実施前,実施直後,30分後に運動時痛評価と運動機能評価を行った.TENSは30分後の評価終了まで実施した.結果:変調TENS群はプラセボTENS群よりも運動時痛が有意に低下したが,運動機能は向上しなかった.結論:変調TENSは慢性腰痛患者の運動時痛を低下させる.
著者
田崎 雄一郎 福原 知宏 佐藤 哲司
雑誌
情報アクセスシンポジウム2011
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.17-22, 2011-09-07

新聞からスクラップブックを作成するというように,Web 探索においても複数の情報源から情報を集約することは多い.それぞれの Web ページ中には利用者にとって必要な情報と不必要な情報が混在しており,利用者は要不要の判断を繰り返しながら情報を収集する.収集を行いながら情報を把握することは難しく,探索中に収集した一連の情報の把握を支援するための情報集約手法が必要である.本論文では Web ページ中の部分毎の情報 (部分領域) を対象とした情報探索・集約手法を提案する.提案法は,ページ中の部分領域を単位とした探索を行いながら,利用者自身が情報を集約する.提案手法を実装したシステム評価実験を行い,部分領域を対象として情報の探索と集約を行う本手法により,利用者が十分有効に情報を収集できることが確認できた.今後は従来手法との比較を行い,従来手法に比べた提案手法の有効性を確認する.
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.87-101, 2017 (Released:2018-06-30)
参考文献数
36
被引用文献数
2

本論文は逸脱研究における社会構築主義的分析の意義について2つの問いを経由して論じ, とくにディスコース分析を用いることで, 逸脱とそれを一部とするより大きな社会過程の記述が可能であるということを示したものである.問いの1つは, 逸脱の社会学の退潮という現状から, こんにちどのような形で社会学的な逸脱研究が可能かということである. この点についてはとくに1980年代以降の犯罪コントロールや刑罰と社会との関係の変化を踏まえ, 新刑罰学などで中心的に議論されている論点を参考にしつつ, 新たな社会状況とそれに巻き込まれる人びとの姿を記述する方法の必要性を論じた. もう1つの問いは, そのための記述方法として社会構築主義的方法がどのような意義をもつかということである. この点について本論文は, ‹語られたこと/語られなかったこと›の分割をどのように処理するかという最近の構築主義批判に応える形で, とくに語りの遂行性に着目した社会構築主義的な分析方法としてのディスコース分析の意義を, 覚醒剤使用者の告白を題材に論じた. そしてその告白が覚醒剤をめぐる社会状況と結びつけて理解可能であることを示した. 併せてディスコース分析の代表的な技法であるレパトワール分析の意義として, 個別性を超えた記述に接続可能であることを論じ, それを具体的に示すために企業逸脱とされる薬害問題を対象にディスコース分析を行うことで, その意義を明らかにした.
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.82-95, 2003

本稿は犯罪の質的研究において科学性・合理性を保証する説明方法に関して論じたものである.ここではとくに,シンボリック相互作用論にもとづく薬物使用の質的研究における代表的二研究を取り上げ,そこで採用されたデータ収集と説明の方法が,どのような形で科学性・合理性を保証し得たのか,あるいはし得なかったのかを論じている.そして最後に,科学性・合理性を保証し得なかった方法における問題点を克服するための新たな方法を提案している・具体的にはまず,リンドスミスによる分析的帰納にもとづいた阿片依存の研究を取り上げ,この研究が,調査対象者との会話やインタビュー,医学文献にもとづいた質的な研究であるとはいえ,仮説演繹法を用いたものであることが明らかにされる.そのことにより,科学的な質的研究の方向の一つが示される.次に,ブルーマーらによる記述的な薬物使用者研究を取り上げ,この研究が,同じく調査対象者へのインタビューや彼らとの討論にもとづいたものではあるものの,調査対象者の世界を合理的には説明できていないことが明らかにされる.そして,その問題を乗り越えるために,ディスコース分析の手法を導入することが提案される.
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.87-101, 2017

<p>本論文は逸脱研究における社会構築主義的分析の意義について2つの問いを経由して論じ, とくにディスコース分析を用いることで, 逸脱とそれを一部とするより大きな社会過程の記述が可能であるということを示したものである.</p><p>問いの1つは, 逸脱の社会学の退潮という現状から, こんにちどのような形で社会学的な逸脱研究が可能かということである. この点についてはとくに1980年代以降の犯罪コントロールや刑罰と社会との関係の変化を踏まえ, 新刑罰学などで中心的に議論されている論点を参考にしつつ, 新たな社会状況とそれに巻き込まれる人びとの姿を記述する方法の必要性を論じた. もう1つの問いは, そのための記述方法として社会構築主義的方法がどのような意義をもつかということである. この点について本論文は, ‹語られたこと/語られなかったこと›の分割をどのように処理するかという最近の構築主義批判に応える形で, とくに語りの遂行性に着目した社会構築主義的な分析方法としてのディスコース分析の意義を, 覚醒剤使用者の告白を題材に論じた. そしてその告白が覚醒剤をめぐる社会状況と結びつけて理解可能であることを示した. 併せてディスコース分析の代表的な技法であるレパトワール分析の意義として, 個別性を超えた記述に接続可能であることを論じ, それを具体的に示すために企業逸脱とされる薬害問題を対象にディスコース分析を行うことで, その意義を明らかにした.</p>