著者
寺本 潔 田本 由美子
出版者
玉川大学教育学部
雑誌
論叢 : 玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
pp.115-132, 2015

244年前,沖縄県八重山地域を襲った大災害,明和大津波を研究した故・牧野清の独自の研究方法や研究成果の今日的意義に関して,地元に残されている資料をもとに考察した。その結果,当時としては広い視野から科学的見地に立ち丹念な地域調査に基づく推論を展開し,実証的に大津波被害の解明に挑んだことが改めて浮き彫りとなった。その意義は,中央の科学者との積極的な交流,測量も加味した綿密な実地踏査と地図化,丁寧な古文書解読,さらに古老からの聞き取り,私費を投じた慰霊碑の建設等,多岐にわたっている。研究者としてだけでなく人格者としても優れた足跡を残した「八重山学の偉人」として位置付けることができる。