著者
奥村 明俊 星野 隆道 半田 享 西山 雄吾 田淵 仁浩
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS) (ISSN:21888604)
巻号頁・発行日
vol.2017-CDS-19, no.19, pp.1-8, 2017-05-18

近年,転売を目的としたイベントのチケット購入やダフ屋行為が増加しており,本人確認が今まで以上に重要となっている.チケットの本人確認の課題は,大規模イベントにおいて入場者のなりすまし防止と確認作業の効率化を両立することである.我々は,この課題の解決に向けて顔認証による本人確認システムを開発し実用化してきた.本人確認システムは,20 以上の大規模コンサートで活用され,なりすまし防止に効果を発揮している.このシステムは,チケット購入時に登録された購入者の顔画像とイベント入場時の入場者の顔画像を照合し,購入者と入場者が同一であることを確認する.顔認証による本人確認システムでは,イベント係員が入場者を静止させてチェックインや顔認証を実行し,一人あたり平均 7 秒で本人確認を行っていた.本論文では,より効率的な本人確認を実現するために,入場者が顔認証のために立ち止まることなく歩行したまま本人確認を行うノンストップ顔認証システムを提案する.歩行中の入場者は,横を向いたり目を閉じたりするなど顔認証に不向きな状態で撮影されることが多い.提案システムは,入場者を 2 つの異なるカメラで撮影し 2 種類の画像と登録画像を照合して顔認証を行うことで,歩行中の入場者の高精度な顔認証を実現した.提案システムは,アイドルグループのコンサート入場者 4226 名の本人確認に活用され,顔認証精度は 91% である.本人確認から入場までの時間は,顔認証に成功した場合一人あたり平均 2.5 秒,顔認証が成功せずに係員が目視で確認した場合も含めて一人あたり平均 2.8 秒である.従来の顔認証システムによる本人確認と比べて確認時間を 60% 削減した.
著者
後藤 真将 田淵 仁浩 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第46回, no.応用, pp.361-362, 1993-03-01

本稿では、複数の打楽器によって演奏された音楽を対象にした自動採譜システムについて述べる。従来おこなわれてきた自動採譜の研究は単音から和音へ、単一楽器から複数楽器へと対象とする音楽の制約を徐々に減らす方向で進められている。しかし、これらの研究はピアノなどの楽音(musical tone)を発する楽器のみを対象にしたものであり、打楽器などの噪音(unpitched sound)を発する楽器は対象にしていなかった。一方、ポップスやロックなどの音楽では打楽器が重要な役割を演じている。ところが従来の自動採譜をこれらの音楽に適用すると、打楽器音がノイズとなって楽音の認識を妨げるために採譜が困難になる。したがって、これらの音楽を自動採譜するためには打楽器音に対応した自動採譜を実現することが本質的に重要である。そこで打楽器音が含まれているこれらの音楽を自動採譜するための第一段階としで、複数の打楽器のみによって演奏された音楽を対象にした自動採譜システムを実現した。