著者
西村 啓 鳥海 不二夫 浅野 千尋 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.26, pp.75-80, 2007-03-15
被引用文献数
2

本論文は,独自の投資手法を明確にまた容易に具現化することが可能な株式の自動売買プログラムである「カブロボ」,カブロボの作成を可能にするカブロボ開発キット,優秀なカブロボ開発者と資金運用者を結び付けるカブロボ・コンテスト,そしてこれらの実施を可能にするカブロボ・プラットフォームに関する[1].売買の成績を競うカブロボ・コンテストの第3回大会では,実運用を目標に6000人以上の人が参加し,その中からコンテストの実績だけではなく,長期のバックテストでも成績のよい実運用に優れたカブロボを輩出することができた.本論文では,株式自動売買プラットフォーム「カブロボ・プラットフォーム」の構成を説明し,カブロボ・コンテストの実績と合わせ,本プラットフォームの有効性を示す.This paper describes a "Kaburobo" that enables users to specifically and easily create an automated stock trading program, a Kaburobo development kit, a Kaburobo contest that combines high-grade Kaburobo creators and financiers, and a Kaburobo platform that can realize them. More than 6000 people participated in the third Kaburobo contest in 2006 with a goal of real trading and some highly capable Kaburobos that have good track records of the contest and long term backsets. This paper represents the structure of the Kaburobo platform, shows actual achievement of the Kaburobo contest, and demonstrates the effectiveness of the platform.
著者
岩村 誠 伊藤 光恭 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.79, pp.19-24, 2010-06-10
被引用文献数
2

従来のアンパッキング手法に関する研究は,主にOEP(Original Entry Point)の特定に焦点を当てており,抽出すべきプログラムコード領域がどこからどこまでの範囲なのかについては,特に言及されてこなかった.本稿では,OEPを含む連続するコミット済みメモリ領域を抽出し,このバイト列における相対アドレス指定の分岐命令に着目することで,OEPを含むプログラムコード領域を識別する手法を提案する.これにより,マルウェアのプログラムコード領域全体を抽出できるだけでなく,他の動的リンクライブラリ等を抽出対象から取り除くことが可能となる.また,本提案手法における実験では,対象となるプログラムコード領域の前後に,他のプログラムコード領域を含むメモリイメージが接している場合にも,分岐区域数の期待値に着目することで,OEPを含むプログラムコード領域だけを識別できることを示した.
著者
田中 英彦 富田 眞治 斉藤 信男 雨宮 真人 村岡 洋一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

重点領域研究・超並列は総括班と、4つの研究班、それぞれ(A)超並列アプリケーション班、(B)超並列プログラミング言語班、(C)超並列計算機用OS班、および、(D)超並列アーキテクチャ班で構成されている。本年度は成果とりまとめの年度として、各班がそれぞれの成果をリファインするとともに、最終のデモンストレーションに向けてそれぞれの成果や開発されたシステムの垂直的な統合化をを行った。総括班は研究全体の取りまとめを司り、約3か月ごとに会合を開き、各班の研究状況の確認や意見交換などを行った。本年度は、特に成果とりまとめ年度として、3月の第7回「超並列」シンポジウムの開催、その際のデモンストレーションの計画、成果をまとめた英文図書の出版、過去のシンポジウムの予稿集のCD-ROMの作成など、プロジェクトの成果を積極的に国内外にアピールしてゆく活動を幅広く敢行した。A班は、超並列計算における新たなアルゴリズムやアプリケーションの構築を目的とし、以下のような応用に対しB班が開発した超並列言語NCXなどへの移植を行い、各種の実験や性能評価、及び言語開発へのフィードバックを行った:・熱流体、渦発生のシミュレーション・弾性体の変形と応力の計算(境界要素法)・場の計算(境界要素法)とSORによるポアソン方程式求解 ・有限要素法における自動メッシュ分割・コンピュータグラフィックスにおける並列レンダリング・生態系(魚群)の自律型行動シミュレーション・並列遺伝的プログラミングによるニューラルネットの構造生成・実時間音楽情報処理システムB班では、超並列言語NCXの実装を改良すると共に、共有メモリ型計算機、分散メモリ型並列計算機、ワークステーションクラスタなど、種々なアーキテクチヤを持つ並列計算機への対応化を行った。また、幾つかの代表的なベンチマークプログラミングを移植し、それぞれの計算機上で性能評価を行った。更に、その他のMIMD型の超並列型プログラム言語V,ANET-LやABCL/fなどの並列計算機上での開発も行った。C班では、超並列計算機でのマルチユーザの保護と性能、複数のユーザのプログラミングモデルの提供、超並列用入出力機構のサポート、などの特徴を備えた超並列計算機用のOS・COSを設計・開発した。本年は、D班の作成する超並列計算機JUMPミ1へのCOSの実装に備え、並列ワークステーションをLANで接続した評価用の環境を用意し、その上にJUMP1ミ1のエミュレータとCOSマイクロカーネルをのプロトタイプを結合したCOSエミュレータを設計・実装した。また、D班の開発したプロトタイプボードJUMP-1/3(仮称)へのCOSエミュレータの移植を行った。D班では、様々な超並列計算のパラダイムに対応できる共有メモリ超並列計算機JUMPミ1の研究開発を遂行し、本年度は(1)主要コンポーネントであるメモリベースドプロセッサ(MBP)、キャッシュコントローラ、ネットワークル-タなどのを開発・デバッグを行い、(2)MBPをDSPでソフトウェアシミュレーションして他の部分はJUMP-1と同設計のシステムJUMP-1/2の設計・開発をし、(3)また、JUMP-1の特徴である高速プロセッサ間ネットワークRDTや高速シリアルI/OシステムStaff-Linkの開発・及びCOS開発のために、SUNワークステーションに接続して種々の実験が行える評価用ボードJUMP-1/3の設計・開発を行った。
著者
首藤 一幸 関口 智嗣 村岡 洋一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1570-1582, 2003-06-15

IA-32プロセッサは,IEEE 754準拠であるにもかかわらず,ある浮動小数点演算に対して他のプロセッサとは異なる結果を返す.IA-32プロセッサ上で他のプロセッサと同一の演算結果を得るための対処をJava Just-in-Timeコンパイラに実装した.倍精度数の演算ではストア--リロードとスケーリングを行う必要があるが,単精度数の演算では丸め精度を倍精度としたままストア--リロードだけ行えば十分であることが明らかになった.また,いくつかの実装方法について性能への影響を調べたところ,スケーリング専用命令ではなく乗算命令を用いることで性能の低下幅は約40%にまで抑えられることが分かった.
著者
根山 亮 後藤 真孝 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.275-276, 1997-03-12
被引用文献数
2

近年, 計算機とのジャズセッションを実現するシステムに関する研究が多くなされてきた. しかし, これらのシステムは, ある特定の計算機環境でしか動作せず, またぞれぞれのシステムで用意された特定の計算機演奏者としかセッションを行なうことができなかった. 本稿では, ユーザが新しい計算機演奏者を容易に開発・カスタマイズしてWWW上に公開したり, 計算機演奏者をWWW上から自宅のパソコンのような身近な場所にダウンロードし, セッションを行なうことを可能とする枠組を提案する. 特にダウンロードした計算機演奏者がセッションをする際に必要となる通信を, 安全性を確保して行なうための方法, 新しい計算機演奏者の開発労力を削減する方法について述べる. 本システムはJavaで記述されており, Java対応のWWWブラウザ上で動作するので, 計算機環境に依存しない. 我々は演奏者の実装例として, ジャズのピアノトリオのべーシストとドラマーを実装した. ユーザはピアノを演奏することにより, 計算機演奏者と即興演奏を楽しむことができる. 実験の結果, 実際にHTTPサーバからダウンロードしたべーシストとドラマーをWWWプラウザ上で実行し, 人間のピアノの演奏にあわせてリアルタイムに演奏させることができた. また本システムが異なる複数の計算機環境で動作することも確認した.
著者
後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.901-911, 1994-05-25
被引用文献数
22

本論文では,複数の打楽器のみで演奏された音楽から各打楽器音の発音時刻と強度を認識する音源分離システムについて述べる.音源分離とは,複数の音源の音が混在している音響信号からそれぞれの音を分離して認識する技術であり,曲の音響信号からその楽譜を作り出す自動採譜において,中心となる重要な処理である.従来,楽音を対象にした音源分離システムは研究されてきたが,それらの手法は打楽器音に対して適用することができない.そこで本論文では,打楽器音の音源分離を実現する認識手法を提案する.本手法では,事前に登録してある打楽器音のテンプレートパターンと入力パターンとの距離を,改良したテンプレートマッチングにより求めてしきい値処理する.我々は,音量補正法,音源分離を実現する距離尺度,選択的注意の機構の三つの点でテンプレートマッチングを改良した.これにより,複数の音が混在したり音量が変化した場合にも各打楽器音を認識できる.本システムをワークステーション上に実装し,打楽器音の音源として電子楽器を用いて実験した結果,8Beatのドラムパターンの演奏音を音源分離することができた.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1910-1921, 1999-04-15
被引用文献数
12

本論文では すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし 即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる. 本研究の目的は 人間と計算機とが影響を与え合いながら演奏する新しい統合演奏環境を実現することである. ジャズではプレーヤー間のインタラクションが重要であるが 従来の多くのシステムでは 人間のソロ演奏に対して 計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していた. 本論文では 計算機内のプレーヤー同士も 人間同様にお互いの演奏を聞き合ってインタラクションできるシステムを提案する. そして その発展形として 各プレーヤーがお互いの姿を見ることもできる仮想ジャズセッションシステムVirJa Sessionを提案する. 本システムでは 計算機プレーヤーの姿やジェスチャーがコンピュータグラフィックスで視覚化され 計算機プレーヤーが他のプレーヤーのジェスチャーをカメラ等を通いて認識できる. こうして 全プレーヤー間のマルチモーダルインタラクションを実現することで 従来の音だけのセッションシステムに比べ より臨場感のあるセッションが達成できる. 現在の実装では ジャズのピアノトリオを対象とし 人間がピアニスト 計算機がベーシストとドラマーを担当する. 両計算機プレーヤーを独立したプロセスとして複数の計算機上に実装し 実験を行った結果 提案したジャズセッションが実現できたことを確認した.This paper presents a jazz session system in which each player is in dependent and can interplay with all other players. The purpose of this research is to build a new performance environment that facilitates interplay among humans and computers. Although interaction among players is important in jazz, computer accompaniment parts of most of the previous systems were collectively generated as a single task and only reacted to the human soloist's performance. This paper proposes a system that enables computer players to listen to other computer players' performances as well as the human players' performances and to interact with each other. This paper moreover proposes an advanced virtual jazz session system called VirJa Session which also enables all players to see each others' gestures. In our system, the bodies and gestures of computer players are visualized on computer graphics and each computer player can recognize other players' gestures. Thus, we can achieve multimodal interaction among all players. In our current implementation, the system deals with a jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist, and a computer drummer. Both computer players have been implemented as separate processes on a distributed environment of multiple workstations. Through our experiments, we verified that our proposed objectives have been achieved.
著者
日高 伊佐夫 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.29-36, 1996-02-24
参考文献数
11
被引用文献数
12

本稿では、ジャズセッションシステムにおけるベーシストとドラマーの実現方法について述べる。従来の研究では、人間のソロ演奏への追従が中心であり、計算機が演奏上どう主張するかについては十分考慮されていなかった。本研究では、すべてのプレーヤーが対等となる合奏を実現するために、計算機上のプレーヤーが演奏での主張の仕方を自ら決定することを提案する。また、曲のおおまかな流れを事前に決め、その部分ごとに主張の仕方を変えることを提案する。そのために、セッションの中でどの程度主導権を握りたいかを算出して、自分が主張する程度を決定する。本システムを実装し、ジャズピアニストとセッションを行なった結果、起伏に富んだセッションが実現できた。This paper presents implementation of a bassist and a drummer in our jazz session system where each player is independent and interplays with others. In most previous systems, computer players only followed a human solist and did not play with a certain intention. In our system, each computer player can dynamically determine his musical intention by considering the whole musical relationships among players. Moreover, we introduce a song form called scenario, which enables the player to change his way of playing according to where he plays in it. Experimental results showed that interaction among a human pianist and the computer players made the performance expressive and interesting.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
河野洋一 西松 研 福盛 秀雄 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.22, pp.43-48, 1996-03-04
参考文献数
5
被引用文献数
1

有限要素法の要素分割には、有限要素法の解に信頼性が増すため、ボロノイ分割と双対なdelaunay三角形(elaunayy四面体)が非常に有効である。しかしボロノイ分割の処理は非常に重いため、ボロノイ分割の高速化が望まれている。そこで、本論文ではボロノイ分割の高速化のため、並列計算機を用いたアルゴリズムを提案する。さらに、要素数の多い時に有効な要素分割の並列化手法の提案を行なう。本手法を富士通の分散メモリ型並列計算機AP1000に実装した結果、母点数6000個の2次元ボロノイ分割を、PE数32台で約11倍の高速化を達成することができた。This paper presents two parallel algorithms for constructing Voronoi diagram and Delaunay triangulation. One algorithm using both a incremental method for inside PEs, and a divide-and-conquer method for merging Voronoi Diagrams between neighboring PEs is proposed. And the other algorithm for many generators which needs only one step of communication for merging Voronoi Diagrams is proposed. With 32 PEs configuration, the second method achieved speed-up ratio of 11 for 6000 generators.
著者
後藤 真将 田淵 仁浩 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第46回, no.応用, pp.361-362, 1993-03-01

本稿では、複数の打楽器によって演奏された音楽を対象にした自動採譜システムについて述べる。従来おこなわれてきた自動採譜の研究は単音から和音へ、単一楽器から複数楽器へと対象とする音楽の制約を徐々に減らす方向で進められている。しかし、これらの研究はピアノなどの楽音(musical tone)を発する楽器のみを対象にしたものであり、打楽器などの噪音(unpitched sound)を発する楽器は対象にしていなかった。一方、ポップスやロックなどの音楽では打楽器が重要な役割を演じている。ところが従来の自動採譜をこれらの音楽に適用すると、打楽器音がノイズとなって楽音の認識を妨げるために採譜が困難になる。したがって、これらの音楽を自動採譜するためには打楽器音に対応した自動採譜を実現することが本質的に重要である。そこで打楽器音が含まれているこれらの音楽を自動採譜するための第一段階としで、複数の打楽器のみによって演奏された音楽を対象にした自動採譜システムを実現した。
著者
岩村 誠 伊藤光恭 村岡 洋一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1622-1632, 2010-09-15

本論文では,機械語命令列の類似度算出手法および自動マルウェア分類システムを提案する.機械語命令列の類似度算出に関する提案手法では,新たなマルウェアが出現した際に,過去に収集されたマルウェアとの近さを算出するとともに,過去のマルウェアと共通の命令列および実際に変更のあった箇所を推定可能にする.一方,昨今の多くのマルウェアはパッカによりそのプログラムコードが隠蔽されている.こうした課題に対しこれまで我々は,マルウェアのアンパッキング手法および逆アセンブル手法を開発してきた.本論文では,これらの手法に機械語命令列の類似度算出に関する提案手法を組み合わせ,マルウェア分類システムを構築した.実験では本システムを利用し,3グループのマルウェア検体を分類した.その結果,ハニーポットで収集した約3,000種類のマルウェアであっても,わずか数種類のマルウェアを解析することで,全体の75%程度のマルウェアの機能を把握できることが分かった.さらに,類似度の高いマルウェアに関しては,それらの差分を推定でき,変更箇所にのみ着目した解析が可能なことも分かった.また,本システムの分類結果とアンチウィルスソフトによる検出名の比較では,本システムが同一と判断したマルウェアに関して,アンチウィルスソフトでは異なる複数の検出名が確認される状況もあり,マルウェアに対する命名の難しさが明らかになった.
著者
日高 伊佐夫 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.29-36, 1996-02-24
被引用文献数
12

本稿では、ジャズセッションシステムにおけるベーシストとドラマーの実現方法について述べる。従来の研究では、人間のソロ演奏への追従が中心であり、計算機が演奏上どう主張するかについては十分考慮されていなかった。本研究では、すべてのプレーヤーが対等となる合奏を実現するために、計算機上のプレーヤーが演奏での主張の仕方を自ら決定することを提案する。また、曲のおおまかな流れを事前に決め、その部分ごとに主張の仕方を変えることを提案する。そのために、セッションの中でどの程度主導権を握りたいかを算出して、自分が主張する程度を決定する。本システムを実装し、ジャズピアニストとセッションを行なった結果、起伏に富んだセッションが実現できた。This paper presents implementation of a bassist and a drummer in our jazz session system where each player is independent and interplays with others. In most previous systems, computer players only followed a human solist and did not play with a certain intention. In our system, each computer player can dynamically determine his musical intention by considering the whole musical relationships among players. Moreover, we introduce a song form called scenario, which enables the player to change his way of playing according to where he plays in it. Experimental results showed that interaction among a human pianist and the computer players made the performance expressive and interesting.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
田渕 仁浩 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.303-304, 1992-02-24

マルチメディアデータベースでは、データと問い合わせが完全に一致することは望めない。利用者が問い合わせで意図する概念構造とデータベーススキーマが一致しなかったり、属性値が一致しなかったりするからである。例えば、大模撲中継を動画像データベースと見なすと、利用者が望む取組のダイジェストを取り出す操作は、データベース管理システム(DBMS)の役割である。しかし、実際の放送は構造化されていないので、従来のデータモデルに基づくDBMSの問い合わせ処理では取組を取り出せない。一方、取組の概念構造は「仕切,対戦,決着,礼,勝名乗り,花道」などの動作のタイトル系列として普遍であり、放送とは無関係である。従って、放送中のカット系列をタイトル化できれば、取組を構成するカット系列の切り出しや各動作場面に特有の属性値も抽出できる。その結果、例えば「力士Aが勝った取組」はある特定の認識手順で取り出せよう。しかし、従来のDBMSにはそのような認識手順に基づく問い合わせ処理を自動化する仕組はない。そこで本稿では、認識的問い合わせ処理の自動化の方法として、MeSodモデルに基づく不完全質問処理の実装機構を提案する。
著者
池長 慶彦 首藤 一幸 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.24, pp.13-18, 2007-03-09
被引用文献数
2

本研究は 実ネットワークに適応するオーバーレイマルチキャスト放送基盤を提案する.従来のツリー型ベースのオーバレイマルチキャストの研究では 参加するノードの上り帯をうまく活用することができない問題や ノードの参加や脱退などが頻繁におきる状況に弱いなどの問題があった.一方でメッシュ型ベースのオーバレイマルチキャストでは 上記で述べたような問題に対して非常に効率がよい.しかしながら 従来のメッシュ型ベースのオーバレイマルチキャストの研究では ネットワークの多様性の存在を考慮していない.そこで本研究では 実ネットワーク上で起こりうるネットワークの多様性を考慮した よりスケーラビリティの高い手法を提案する.In this paper,we present the overlay multicast system to adjust to the real network. Traditional tree-based approaches to overlay multicast ineciently utilise the outgoing bandwidth of participating nodes and poorly adapt to nodemembership churn.In constrast, mesh-based approaches can utilise bandwidth and adapt to churn. However a common mesh-based approach doesn't consider the heterogeneous network like the real network.we present approach of a higher scalability in the real network.
著者
田渕 仁浩 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.83-84, 1993-03-01

本論文では,動画像に現れる複数の索引対象の同時点での出来事を指定した問い合わせから,指定された場面に適合すると思われるシーンを含む部分動画像を検索する方法について論じる.例えば,大相撲放送の動画像データベースにおいて,「西土俵際で投げの打ち合いをしている場面がアップになったような対戦を取り出せ」という問い合わせから,それらしい場面が現れる対戦を検索するような方法について論じる.動画像の各場面の事象を問い合わせで記述できるためには,場面毎の多くの事象に索引を付与しなくてはならない.しかし,問い合わせ条件は索引対象が多いほど,動画像に対する索引の時間間隔に対して時間的ズレを生じやすい.そのために,問い合わせに正確に一致するような場面は,事実上得られない.そこで,本論文では具体的な例を使って,こうした問い合わせを受理できるデータベースを提案中のMeSODモデルと不完全質問処理によって記述する方法について論じる.
著者
斎藤 卓也 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.116, pp.1-6, 2011-06-26

非リアルタイムOSであるWindows XPによりリアルタイムなヒューマノイド・ロロボット・コントローラを実現するロボット・コントローラALICEを開発した。ALICEは加速度センサによる姿勢制御などシビアなリアルタイム性が重視される処理をALICE上の組込CPUに任せ、より高度な動作指示をWindowsが担当する事により、Windows XPでヒューマノイド・ロボットのリアルタイム・コントロールを実現した。本論文では、Windows PCとALICEとの通信時間を、通信パケットサイズを変化させることにより、通信効率について調べた。そしてWindows PCとALICE間の通信時間のジッタについて調査を行った。その結果、ALICEをwindows PCとアクチュエータとの間に入れることにより、windowsでリアルタイムなヒューマノイド・ロボットのコントロールが可能であることが分かった。
著者
後藤 真孝 根山亮 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1335-1345, 1999-03-15
被引用文献数
22

本論文では シンボル化された音楽情報をネットワークを介して共有するための通信プロトコルRMCPについて述べる. 本研究は 音楽情報処理システムを分散実装したり ネットワークを利用したアプリケーションを実現する際に有効な 音楽情報処理のためのネットワークプロトコルを設計することを目的とする. そのような目的では 音楽情報の効率の良い共有が望ましいが 従来の音楽情報用の関連プロトコルの多くは1対1通信を基本としたコネクション型であり 複数プロセス間での効率的な情報共有は十分考慮されていなかった. RMCPはコネクションレス型であり 全通信をブロードキャストで行うため 各プロセスへ個別に送信するオーバヘッドがなく情報共有の効率が良い. さらにRMCPは リアルタイム音楽情報処理のために タイムスタンプを用いた時間管理の機能を提供し 遠隔地間の合奏のために 信頼性を確保しながら遠隔地間で双方向にパケットを中継する機能も提供している. 本論文では これらの機能を活用することで実現できる 遅延を考慮した新たな形態の遠隔地間の合奏も提案する. RMCPはすでに様々な音楽情報処理システムを実現するために運用されてきた. その経験から RMCPの通信遅延時間が十分小さいことが確認されただけでなく RMCPを用いることで必要な機能が再利用できて実装が容易になり 拡張性が高くなることも確認された.This paper describes a communication protocol, called RMCP (Remote Music Control Protocol), which is designed for sharing symbolic musical information through computer networks. The purpose of this research is to design a network protocol which is suitable for musical information processing and facilitates distributed implementation of music-related applications. Although efficient musical information sharing is desirable for such a purpose, most previous music-related protocols were connection-oriented and did not emphasize efficient information sharing among multiple processes. Since the RMCP is a connection-less protocol, it supports broadcast-based efficient information sharing without the overhead of multiple transmission. It also supports time scheduling using time stamps for real-time musical information processing and reliable bidirectional packet relay for remote sessions. This paper also proposes an innovative remote session over the Internet that has a long delay. RMCP has been utilized in various applications and we found that the communication delay of RMCP was enough small and RMCP facilitated system implementation and expansion because of good reusability.