著者
田淵 景子 福田 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.666-673, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,再帰ロジット型交通モデルを用いてサブスクリプション型MaaSの設定を評価する方法を提案した.提案方法は,与えられたMaaSの条件(サブスクリプション型MaaSに含まれる交通手段やその範囲等)に対して,利用者が支払いたいと考える最大の定期利用料金を交通行動理論と整合的に算出し,適切なMaaSの範囲設定と料金水準の関係を定量的に明らかにすることができる.ケース・スタディとして,東京都市圏パーソントリップ調査データを用いてマルチモーダル再帰ロジット交通行動モデルのパラメータ推定を行い,良好な結果を得られたことを確認した.その上で,構築したモデルを東京都市圏の特定地域に適用してMaaS導入評価のシミュレーションを行ったところ,MaaS導入前の現状の交通サービスの料金設定と比べて,MaaS導入後には妥当な許容定額料金が算出されることを確認した.これにより提案する評価手法に一定程度の妥当性があることを明らかにした.