著者
田留 健介 大村 嘉人
出版者
The Editorial Board of The Journal of Japanese Botany
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.198-204, 2023-08-20 (Released:2023-08-20)
参考文献数
38

国立科学博物館に収蔵されている南極大陸産コフキシロムカデゴケPhyscia caesiaの標本から,南極大陸新産および南極大陸東方地域新産の地衣生菌3種を発見したので報告する.南極大陸新産種であるDidymocyrtis epiphysciaは黒褐色で直径100–120 µmの分生子果を有し,分生子形成細胞は亜球形からびん形で単室,透明,分生子は楕円形で(4.3–)4.7–5.5(–6.4) × (2.0–)2.3–2.7(–3.2) µmであった.Tetramelas phaeophysciaeの子器はレキデア型で大きさは200–300 µm,子嚢の先端はK/I+ 青色,子嚢胞子は楕円形で2室,褐色で湾曲していた.南極大陸東方地域新産種であるLichenostigma alpinumは,かつて南極大陸西方地域のキングジョージ島で採集された地衣類のニクイボゴケ属の一種Ochrolechia frigida上で見つかっていた.