著者
田端 正明 上田 晋也
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.839-846, 2017-11-05 (Released:2017-12-05)
参考文献数
29
被引用文献数
1

三重津海軍所(佐賀市川副町,諸富町)から出土した磁器の生産地を推定するために,三重津海軍所が稼働した幕末期に鍋島藩の肥前で磁器を製造していた窯跡{年木谷(有田町),広瀬向(有田町),志田東山(嬉野市塩田町),波佐見(波佐見町)}から出土した磁器(135点)についてシンクロトロン蛍光X線分析を行い,三重津海軍所出土磁器(24点)と比較した.磁器の胎土成分であるRb,Sr,Y,Zr,Nbの蛍光強度比について,log(Rb/Sr)vs. log(Zr/Sr),(Fe/Rb)vs.(Sr/Rb)及び(Rb/Nb)vs.(Zr/Nb)の関係を調べた.水簸工程における元素の移動に着目した(Rb/Nb)vs.(Zr/Nb)のプロットから,出土磁器の生産地を三つのグループに分類することができた.同様に,三重津海軍所出土磁器の碗も種類によって三つのグループに分類された.二つのプロットの類似性より三重津海軍所出土磁器の産地を推定した.
著者
安田 みどり 米山 明男 竹谷 敏 田端 正明 川﨑 美紅 江原 德美 廣沢 一郎 妹尾 与志木
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00053, (Released:2023-01-06)

本研究では, 機械そうめんの食味の特徴をミクロ構造から解明することを目的とした. 食味検査により, そうめんのコシ (弾力) は, 機械そうめん (神埼そうめん, MS1) <手延べそうめん (揖保乃糸, TS) <機械そうめん (ナンバーワン, MS2) の順となった. 一方, 破断強度の測定によって求めたコシは, MS1<MS2<TSの順に強くなった. 放射光CTスキャン測定により, TS (乾麺) は中心部に帯状の大きな空隙が存在しており, 茹でた後も一部帯状の空隙が残っていることがわかった. この外側と中心部の内部構造の違いが, 破断強度のコシが強い要因であると考えられる. 一方, 機械そうめんは小さな空隙が均等に分散した内部構造であった. これが, 破断強度のコシが低い値となった原因であることがわかった. しかし, 食味検査でMS2がTSよりもコシが高いという結果であったことから, 茹で操作における吸水速度も食感に影響したと考えられる.