著者
田辺 文也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.348, 2008

JCO臨界事故は、臨界質量制限値を大幅に超える量の製品硝酸ウラニル溶液の均一化工程を実施するにあたって、形状制限によって臨界管理されている純硝酸ウラニル溶液貯塔に替えて形状制限されていない沈殿槽を使用したことにより発生したが、原因のひとつとして、この作業手順変更が職制上の上司である職場長の許可を求めることなく現場作業チームにより計画、実行されたことがあげられる。これは主に、JCOで長年に亘って実施された改善提案制度において、現場作業員に対して実施済改善提案の提出が原則である旨が徹底的に指導され、かつそれがより高い褒賞内容にも結びついていたこともあり、職制上の上司の許可なく手順を変更して作業を実行することが常態化し、改善提案制度衰退後もその風潮が維持されたところからきたものである。