著者
田辺 智隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.121, no.8, pp.265-278, 2015-08-15 (Released:2015-08-29)
参考文献数
19

長野市の北西部にある戸隠地域は,標高1,908mの戸隠山を中心に平安時代から山岳信仰の霊場となってきた場所である.地質学的には,北部フォッサ・マグナ地域の中央に位置し,新第三紀鮮新世の海成層が隆起してできた地域で,江戸時代から化石の産地として記録が残っている.「なぜ戸隠から化石がみつかるのか?」をテーマに,廃校になった小学校を利用した戸隠地質化石博物館が2008年に開館した.このコースでは,このユニークな博物館を見学するとともに,裾花川沿いの新第三紀の地層や化石の産出状況,地形などを見学し,長野の大地の生い立ちを学びたい.
著者
西来 邦章 竹下 欣宏 田辺 智隆 松本 哲一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.89-103, 2014-03-15 (Released:2014-07-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1

四阿火山において地質調査,K-Ar年代測定および全岩化学組成分析を行い,火山活動史の再検討を行った.本火山は噴出物の分布と地形の開析の程度差,活動年代および全岩化学組成から,3つの火山体(初期火山体,根子岳火山体,浦倉山火山体)からなる.本火山の活動は,約80万年前に開始した(初期火山体の活動).約70万年前には,根子岳周辺でデイサイトの火山活動が発生し(根子岳火山体の活動),数万年間で山体が形成された.初期火山体は約55万年前まで活動が継続したのち,5万年程度の活動休止期を挟み,約50万年前には,浦倉山周辺で安山岩の火山活動が発生した(浦倉山火山体の活動).この火山体の活動は約45万年前には終息した.そして,約30万年前には,四阿火山の北西方において小規模な火山体(鳴岩火山)が形成された.