- 著者
-
工藤 篤
田邉 稔
- 出版者
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
- 雑誌
- 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.4, pp.290-297, 2014 (Released:2015-02-17)
- 参考文献数
- 53
膵神経内分泌腫瘍の術後5年生存率は60~80%,肝転移再発率は30~85%と報告されている。原発巣切除の意義は極めて高く,リンパ節郭清が必要である。核出術が選択可能な腫瘍の肉眼型分類は,理論上被膜形成のある単純結節型に限定されるが,被膜形成や被膜外浸潤などの病理学的所見を術前に判定することは極めて困難であることは極めて明白であり,リンパ節郭清を伴う定型的切除を選択することがベストである。また,本邦においては初診時に遠隔転移を認める症例が約2割,非機能性NECに至っては半数を占める。肝転移を伴う症例の予後は極めて不良であり,集学的治療の一環としての外科切除が果たす役割は極めて重い。しかしながら,切除だけで根治を狙うことには限界がある。従来のソマトスタチンアナログ製剤に加えて,2011年にエベロリムスが2012年にスニチニブが保険適応となった。近年の大腸癌に対する集学的治療の革新的な進歩がそうであったように,膵神経内分泌腫瘍においても分子標的療法の発展に伴い外科治療の適応は今後ますます拡大していくことが予想される。