著者
早田 保義 田部 敏子 近藤 悟 井上 興一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.759-766, 1998-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
7 13

土壌水分の異なる処理区を設け, 土壌水分の違いがミニトマトの生育, 特に果実の糖集積に及ぼす影響と糖集積の要因について調査した.灌水量を強く控えた強乾燥区(pF2.9)では, 葉や果実の水分含量が低下するとともに, 1株当たりの全乾物重が減少した.1株当たりの器官別乾物重の割合は, 強乾燥区で, 葉や根の割合が低下し, 果実の割合が高まる傾向がみられた.果実の糖含量は, 土壌水分を低下させるに従い増加した.組成別では, 全処理区でブドウ糖および果糖の割合が高く, ショ糖の割合が低かった.果実の水分含量は強乾燥区で低下するものの, その割合は小さく, 果実糖度上昇における濃縮効果の影響は, ミニトマトでは少ないと判断された.果実の全窒素および水溶性タンパク態窒素含量は多湿区が高く, 強乾燥区では低い値であり, 糖含量とは逆のパターンとなった.果実のデンプン含量は強乾燥区と多湿区で蓄積量に差はなく, 果実糖度の上昇との関連性が薄いと判断された.果実の食味を示す糖/酸比は, 土壌水分の抑制が強まるに従い, 高くなる傾向を示した.