著者
岩田 通夫 Longhao Yuan Qibin Zhao 田部井 靖生 山西 芳裕
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2B09, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
4

ヒト由来細胞の薬物応答を遺伝子レベルで明らかにすることは、創薬において重要課題である。しかしながら、実際の薬物応答遺伝子発現データは多くの欠損値や未観測値を含んでいる。本研究では、新規のテンソル分解アルゴリズムTT-WOPT (tensor-train weighted optimization)を用いて、高階テンソル構造からなる薬物応答遺伝子発現データを解析する手法を提案した。本研究では、208薬物、978遺伝子、15細胞、3時点からなる薬物応答遺伝子発現データに適用した。実際に、提案手法は既存手法よりも、薬物応答遺伝子発現データ中の欠損値を正しく補完できた。また、遺伝子発現データから薬物の効能を予測する問題においてTT-WOPTで欠損値を補完することにより薬物の効能予測の精度が向上することを示した。提案手法は、薬物の標的分子予測や新規効能予測など様々な用途への活用が期待できる。
著者
高柳 未来 田部井 靖生 西郷 浩人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4I3J204, 2019 (Released:2019-06-01)

変数間作用を考慮した非負スパースモデルを作ることは,現実世界の問題を解く上で必要不可欠であり,例えば生物学では応答変数は頻繁に特徴の組み合わせの線形和で定式化される. この論文ではアイテムセットマイニングと非負線形回帰を組み合わせ,この問題の解を導く. 我々の貢献は,特徴探索のための新たな条件を提案することである. 人工データでは,提案手法は枝刈り条件のないナイーブな手法に比べて数桁分高速に実行できることを実証する. さらに,実験において非負制約が通常のLASSOよりも有効な特徴の数を減らすことができることを示す. HIV-1ウイルスの薬剤耐性データセットを用いた実験では,提案手法は突然変異の組み合わせにより引き起こされる薬物耐性の上昇を高速でモデル化することに成功した. 我々は誤検知の抑制において,非負制約が効果的であることも実証した.
著者
田部井 靖生 津田 宏治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.87, pp.103-110, 2011-06-13

近年,データの大規模化に伴いバイナリコードを用いた類似度検索はますます重要度を増している.従来の空間分割に基づく手法(e.g., cover tree)とは異なり,数値ベクトルはハッシュテーブルにより効率的に扱うことができる離散シンボルへと変換され処理される.しかし,ハッシュテーブルに基づく手法はベクトル空間の幾何的性質を扱うことが困難であり既存の手法は必ずしも効率的とは言えない.そこで,本稿ではウェーブレット木(Grossi et al., SODA'03)によるバイナリコードの効率的な検索手法を提案する.提案手法は幾何的制約により探索空間を効率よく枝刈りすることができ,ハッシュテーブルを使った手法よりも効率的である.実験により,提案手法は約8000万の大規模画像データに対しても適応可能であることを示す.