著者
甲斐 初美
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.1-4, 2013 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

本研究では,各単元内容の系統性を整理するとともに,理科の一連の指導内容の最適化や構造化を図ることを目的としたこれまでの研究成果から明らかとなった,モデルやアナロジーの取り扱いについて,概念の体制化(organization)と精緻化(elaboration)の観点から考察することを目的とした。特に,温度による体積変化の学習において用いられるアナロジーの教科書における問題点を指摘し,モデルやアナロジーの使用の際の制約の必要性について検証したものである。それらのことから,教科書や教師の説明手段として使用されるモデルやアナロジーのベースとなる領域が,子どもにとってどの程度のなじみがあるのかを検証することや,子どもが理科授業内に持ち込むモデルやアナロジーの起源を整理することで,子どもにモデルやアナロジーを用いて説明させることが可能であるかどうかを検討することの重要性について提言していった。
著者
織田 一輝 甲斐 初美 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.57-60, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1

学習者は,1 つの学習状況で複数の概念を保持することが可能である。したがって,学習者の学習過程を適切に捉えるためには,学習者が保持している複数の概念やそれらによって構築される概念生態系の変化をモニタリングする必要がある。そこで,本研究では,これまでに我々が行ってきた「溶解概念」の構成に関する授業実践から得た示唆をもとに,より学習効果が高まると思われる授業を構想・実践し,授業の中での学習者の概念や概念生態系の変化をモニタリングするように試みた。そして,その結果を基礎として,新たに構想・実践した授業の適切性を明らかにした。