著者
森藤 義孝 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会研究紀要 (ISSN:03899039)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-13, 1992 (Released:2023-06-20)
参考文献数
25
被引用文献数
4 2

本研究においては、中学生の保持する粒子観の特質とその形成過程を明らかにするため、化学反応に関する面接調査を実施した。調査結果の分析においては、クラックストンによって提起されている学習モデルを規範として取り上げた。このモデルに従い、中学生の保持する粒子観を、「内容」, 「適用方法」, 「適用可能な状況」といった側面から捉え、それらを「直観的科学」,「俗科学」,「学校科学」といった三つのミニ理論群に分類することができた。さらに、「概念変換」を、「学校科学」の受容に伴う「直観的科学」と「俗科学」の破棄の過程としてではなく、それぞれのミニ理論の最適な適用状況を見いだすことを含む過程として捉えることができた。この見解から得られる理科教育への主要な示唆は、理科教授が、異なる種類のミニ理論群を統合するだけでなく、それらの再定位をも含むように計画されるべきであるということである。
著者
長谷川 恭子 吉田 歩 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.25-30, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

平成 20 年の小学校学習指導要領の改訂により,「月の満ち欠け」に関する内容が,小学校第 6 学年において再び取り扱われるようになった。吉田らは,天動説の立場から,小学校第 6 学年「月と太陽」で取り上げる「月の満ち欠け」について,月早見板の作成活動を取り入れた授業を構想し,実践を行った。本研究では,小学校第 6 学年の「月の満ち欠け」に関する効果的な学習指導法の検討を行うため,吉田らの授業を受けた子どもを対象に,月の満ち欠けに関わる理解がどのように維持され,あるいは崩壊しているのかを明らかにした。
著者
織田 一輝 甲斐 初美 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.57-60, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1

学習者は,1 つの学習状況で複数の概念を保持することが可能である。したがって,学習者の学習過程を適切に捉えるためには,学習者が保持している複数の概念やそれらによって構築される概念生態系の変化をモニタリングする必要がある。そこで,本研究では,これまでに我々が行ってきた「溶解概念」の構成に関する授業実践から得た示唆をもとに,より学習効果が高まると思われる授業を構想・実践し,授業の中での学習者の概念や概念生態系の変化をモニタリングするように試みた。そして,その結果を基礎として,新たに構想・実践した授業の適切性を明らかにした。
著者
森藤 義孝 杉本 洋輔
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.123-128, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

本研究においては,小学校理科の学習内容に関する命題分析を通した検討の一環として,電気分野で取り扱う諸概念について,意味内容とイメージの観点からの分析を行った。その結果,現行の学習指導要領,及びそれに基づいて作成された小学校理科教科書における科学用語の取り扱いには改善の余地があることが明らかにされた。そこで,本研究では,見いだされた科学用語の取り扱いに関わる問題点を解消するための方策として,Asoko らの提案を踏まえつつ,小学校で構築すべき電気分野の諸概念にかかわる効果的なイメージの提案を行った。