著者
松葉佐 智子 甲野 祥子 鍵屋 慎一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的・概要】揚げ物はカロリーが高く、揚げ油の後始末が面倒という印象を持たれおり、家庭で揚げ物を作る頻度は減少傾向にある。一方で揚げ物が好きという人の割合は7割弱という調査結果があるため、実状は揚げ物に対する嗜好は高いと考えられる。本研究では家庭で行っている揚げ方の違い(油量の違い;深油揚げ、浅油揚げ、ノンフライ)による脂質含有量を測定するとともに食味官能評価を行った(実験1)。また揚げ物は温め直して食する機会も多いため、家庭で良く用いられる、電子レンジ、オーブントースターで温め直した揚げ物の食味官能試験を行い、揚げたての状態とのおいしさの変化を明らかにした(実験2)。<br>&nbsp;【結果】(実験1:揚げ方)食材全体が油に浸かる油量で揚げる方法(深油揚げ)、1cm程度の深さの油量で裏返しながら揚げる方法(浅油揚げ)、油をほとんど使わないノンフライの3種類の揚げ方で調理した鶏むね肉のから揚げを比較したところ、深油揚げよりも浅油揚げのから揚げの方が1個当たりの脂質含有量が有意に高かった。また、ノンフライでは深油揚げ、浅油揚げのどちらの揚げ方と比較しても有意に少なく、約半分程度であった。一方、食味官能試験においては深油揚げ、浅油揚げの間に差は見られなかったが、ノンフライよりも外観、味ともに有意に評価が高く、総合評価で「おいしい」という結果が得られた。(実験2:温め直し)揚げてから6時間経過した鶏むね肉のフライを電子レンジ、およびオーブントースターで温め直したもの、および揚げたてのものについて食味官能試験を行った。その結果、総合評価ではオーブントースターと揚げたての間に有意な差は見られなかったものの、評価項目中の「肉のジューシーさ」、「肉のやわらかさ」において揚げたての方が有意に高い評価が得られた。