著者
関口 浩 町田 幸雄 尾股 定夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.99-109, 1996-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
25

日常頻繁に摂取する食品171品種の硬さについて,新測定法として硬さ測定用触覚センサを採用して調査した結果,以下の結論を得た。1.硬さ測定値は0Hzから3,868Hzまでと広範囲にわたっていた。この測定値を基に0Hzから4,000Hzを等分し,硬さを8段階に区分した。最低値を示した食品は茶碗蒸,最高値を示した食品はキャラメルであった。2.全食品の硬さの分布状況をみると,90%が硬さ順位1から4の間にあり,軟らかい方に集中していた。3.各食品群別に硬さの分布状況をみると,穀類,肉類,調理加工食品類,野菜類は硬さ順位4に多くの食品が分布していた。これらに比べて,いも類,種実・豆類,果物類,卵・乳類および魚介類は,硬さ順位1から2の間に分布する食品が多く,軟らかい傾向が認められた。菓子類は他の食品群に比べて,分布範囲が広く,硬さ順位1から8の間に分布していた。4.硬さ順位ごとに代表的食品を挙げると,1:プリン,豆腐,2:肉団子,大根(煮),3:うどん,ウィンナーソーセージ,4:ハンバーグ,食パン,5:せんべい,するめ,6:チョコレート,あめ玉,7:無し,8:キャラメル,キャンデーであった。5.硬さ測定用触覚センサは幅広い測定範囲と高い感度を有しているため,種々な食品の硬さの測定が可能であり,しかも,短時間で判定できるため,多くの食品について測定することが可能であった。
著者
松崎 和江 外木 徳子 長谷川 浩三 矢島 功 町田 幸雄 井坂 隆一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.88-93, 1985-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
2

歯磨圧は歯垢清掃効果及び歯質,歯周組織の損傷と大きな関連性を有しているものと思われる。そこで本研究は,小児のスクラブ法による最適歯磨圧を歯垢清掃効果率,刷掃時の疹痛及び歯齪よりの出血の有無等を参考として求めた。被験者は,4歳から5歳までの歯牙の欠損および歯列不正を認めない乳歯列期の小児15名である。歯ブラシは中等度の毛の硬さを有するライオン株式会社製DentM-2を使用した。測定部位は上下顎左右側の乳臼歯部頬面の4部位で,欄掃回数は各部位とも20回とした。設定歯磨圧は,100g,200g,300g,400g,500gとし,その他の条件は一定とした。得られた結果は以下の通りである。1)100gの歯磨圧での歯垢清掃効果率は30・2%であり,200gでも44.3%であった。これらに対し300gでは76・1%と大きな向上が見られた。しかし,400gでは76.7%,500gでは73.4%とあまり変化がみられなかった。それぞれについて有意差検定を行ったところ1009,2009及び3009の間には1%の危険率で有意差が認められた。しかし,300g,400g,500gの間には有意差は認められなかった。2)部位による清掃効果の差は,歯磨圧100gおよび200gにおいてはみられたが,300g,400g,500gにおいては殆どみられなかった。3)刷掃時の疹痛は300g以下では全く認められなかったが400gで8名,500gで11名の小児に認められた。また,辺縁部歯齪からの出血が400gで3名,500gで5名の小児に認められた。以上の結果より小児のスクラブ法による刷掃において,中等度の硬さの歯ブラシを用いた場合,最適歯磨圧は300gと考えられる。
著者
辻野 啓一郎 町田 幸雄
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.670-683, 1997-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
30
被引用文献数
1

幼児期から青年期まで矯正処置などをすることなく正常咬合となった小児28名(男児13名女児15名)について,2か月間隔に得られた上下顎累年石膏模型を用いて,暦齢では3歳から20歳まで,歯牙年齢では各永久歯出齦時を基準とし出齦後7年から14年まで,乳犬歯,第一乳臼歯,第二乳臼歯,犬歯,第一小臼歯,第二小臼歯,第一大臼歯,第二大臼歯の各歯列弓幅径について観察した。乳犬歯間幅径,第一乳臼歯間幅径,第二乳臼歯間幅径は6歳頃まで増加量がわずかであったが,この時期乳犬歯間幅径はほぼ安定し,上顎第二乳臼歯間幅径は増加量が最も大きかった。その後は,各部位ともに漸次増加を示し,切歯萌出期では乳犬歯間幅径の増加が特に大きかった。犬歯間幅径は出齦時から上顎では13歳頃,下顎では15歳頃まで,減少を示しその後安定した。歯牙年齢での観察で出齦後1年まで萌出に伴う減少が著明であった。上顎第一小臼歯間幅径は歯牙年齢では出齦後6か月まで減少が見られたが,その後は著明な変化はみられなかった。下顎第一小臼歯間幅径,第二小臼歯間幅径では出齦後数年間増加がみられたがその後は著明な変化はみられなかった。第一大臼歯間幅径は上顎では15歳頃まで漸次増加し,下顎では出齦後数年間わずかに増加後ほぼ安定していた。第二大臼歯間幅径は上顎では出齦後2年まで減少を示し,下顎では萌出初期は不安定であり,その後はほぼ安定していた。暦齢と歯牙年齢による観察の結果の差違は,上下顎犬歯間幅径で特に著明であった。