著者
町田 英世 長瀬 信子 内藤 ゆみ 木場 律志 永岡 三穂 吉川 悟
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.1055-1063, 2015-09-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

近年,成人期まで障害が気づかれずに経過してきたと考えられる成人期の発達障害への関心が高まっている.発達障害は社会性や対人関係での困難さを伴うため,精神および身体問題を起こしやすい.今回,学生時代から過敏性腸症候群症状が認められ,成長とともに症状の悪化をみた発達障害例を経験した.当初は心身症においてしばしば観察されるアレキシサイミアの特徴を有すると症例と考えていたが,途中で発達障害の診断に至ったことで大きな治療変化をみた.特に,精神症候が目立たずに長期または難治化している身体症候例では,幼少期からの発達歴を含めた縦断的な考察が必要である.
著者
町田 英世 工藤 卓 吉川 悟 中井 吉英
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.135-141, 2000-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

心療内科で扱う慢性疼痛症では, 症状に対して器質的病因が特定し得なかったり, 病因に相関しない疼痛が持続することが多い.こうした場合, 治療者側の疼痛の評価はより主観的となり, 病態に対する患者との認知の差が大きくなりやすい.そのため治療にあたっては, 患者が家族や治療者と行うコミュニケーションや相互作用に配慮することが重要になってくる.こうした視点で慢性疼痛を捉えることは, 治療的な相互作用の構成を課題とする短期療法の適応が考慮されるべき点である.今回は, 短期療法の一つといえる「問題の外在化」を用いて治療した慢性疼痛症例をあげながら, 心療内科における心理療法の応用について述べたい.