- 著者
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福井 康弘
伊東 嗣功
工藤 卓
- 出版者
- 日本知能情報ファジィ学会
- 雑誌
- 日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
- 巻号頁・発行日
- pp.45, 2013 (Released:2015-01-24)
機能しない神経システムを補完することを目的とした生体の神経回路網と電子回路のインターフェイスを実現するためには,神経回路網のネットワークダイナミクスの解明と,最適な入力手法,出力である神経回路網の発火パターンをデコーディングする手法の開発が必須である.この目的のため,脳における神経情報処理の生体モデルとしてニューロ・ロボットの開発を行っている.生体の神経回路網に,外界からの入力として電流刺激が印加され,刺激による神経回路網の応答パターンによってニューロ・ロボットの行動が生成される.我々が開発しているニューロ・ロボットは,生体神経回路網が上位情報処理装置であり,ソフトウェアによって入出力を調整することによって合目的的行動を生成するように設計されている.本研究では常時教師無し学習を行いながら行動生成を行う自己組織化マップ(SOM)を用いたニューロ・ロボットを開発した.ロボットのIRセンサが識別した左右の障害物の位置に対応した2電極から電流刺激を行い,刺激によって得られる64次元の特徴ベクトルをSOMに入力し,10×10の2次元のマップ空間に写像して次元縮約を行った.学習の初期にのみ,左右の障害物に割り当てた電流刺激に対してあらかじめ選定したノードを強制的に勝者ノードとして教師あり学習を行い,勝者ノードに対して適切な想定動作を関連づけた.これをシーディングと呼ぶ.シーディングにより,左右入力によって誘発された神経電気活動の時空間パターンが互いに重なっていなかった場合,勝者ユニットの分布は左入力に対する勝者ユニットがマップ上の左側に,右入力に対する勝者ユニットが右側にほぼ分離して写像された.また,複数回の入力で選出された勝者ユニットの重心の位置は入力ごとに繰り返しほとんど同じ位置が選択される傾向が確認された.