著者
城 斗志夫 工藤 卓伸 田﨑 裕二 藤井 二精 原 崇
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.315-322, 2013-09-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

キノコにおいて香りは美味しさを構成する大事な要素である.そのために多くのキノコにおいて香気成分が分析されている.キノコの中にはマツタケや干しシイタケのように特徴香を持つものもあるが,大部分のキノコにおける香りの主成分は1-オクテン-3-オールや1-オクテン-3-オン,3-オクタノン,3-オクタノールなどの揮発性C8化合物である.C8化合物の生合成には,脂質過酸化酵素,過酸化脂質開裂酵素,酸化還元酵素が関与すると考えられているが,よくわかっていない部分も多い.そこで本稿ではキノコの香気とその生合成に関わる酵素について述べる.
著者
工藤 卓哉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.418-423, 2015-10-01

今日,世界的な先進企業が,日々生成される膨大なデータのなかから「金鉱」を見つけ出そうと躍起になっている。日本でも数年前から「ビッグデータ」や「データサイエンス」という言葉が流布してはいるものの,国内ではいまだバズワードの域を出たとは言いがたい。データ活用が,デジタル化社会の将来を見越したビジネスモデルの再構築にまで到達するケースがいまだ限られているからだ。そこで本稿では,日米を拠点にさまざまなデータ分析案件に携わる筆者の視点から,デジタル化社会におけるデータ活用のキーポイントを先端事例を交えながら論じていく。
著者
本多 慶大 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.46, 2013 (Released:2015-01-24)

脳波と人間行動を遠隔計測可能なシステム,Air Brainを開発した.本システムの特徴は,いつでも・どこでも・誰でも容易に脳波と人間行動を計測することが可能であることである.汎用部品を用いて独自開発した小型脳波計とスマートフォンにより構成されているため,低コストで導入可能であり,更に広いエリアをカバーしたテレメトリーが可能である.小型脳波計とスマートフォンはBluetooth無線により接続し,スマートフォンの3G回線を介してインターネット上の外部保存領域へデータを保存することで計測場所の制約のない遠隔計測を実現した.また,スマートフォンは人間行動を識別するために高感度なセンサーやGPSシステムが組み込まれているため,これを利用して脳波と人間行動を同時に把握することが可能である.これらの特徴により広い分野への応用が見込まれる.Air Brainシステムを用いてα波の遠隔計測に成功し,市販の小型脳波アンプと同等の性能を有することを確認した.加速度センサーの出力値を同時計測することで,歩行状態と脳波を対応させて観測することが可能であった.また,Air Brainシステムを用いることにより,歩行直後数秒以内では,安静時と比較してα波が増大することを見出した.
著者
町田 英世 工藤 卓 吉川 悟 中井 吉英
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.135-141, 2000-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

心療内科で扱う慢性疼痛症では, 症状に対して器質的病因が特定し得なかったり, 病因に相関しない疼痛が持続することが多い.こうした場合, 治療者側の疼痛の評価はより主観的となり, 病態に対する患者との認知の差が大きくなりやすい.そのため治療にあたっては, 患者が家族や治療者と行うコミュニケーションや相互作用に配慮することが重要になってくる.こうした視点で慢性疼痛を捉えることは, 治療的な相互作用の構成を課題とする短期療法の適応が考慮されるべき点である.今回は, 短期療法の一つといえる「問題の外在化」を用いて治療した慢性疼痛症例をあげながら, 心療内科における心理療法の応用について述べたい.
著者
上田 拓弥 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.126-129, 2018 (Released:2019-01-09)

自身の手が見えない環境て?ラバーハンドと本身の手を同期的に触刺激すると,ラバーハンドが自身の手のように感じるラバーハンドイリュージョン(Rubber hand illusion,RHI) は身体的感覚か?外界のものに寄託する現象である.本研究では,自作した延長可能なラバーハンドを用いて,視覚と触覚の同時に刺激によるRHI を行った.また,実験後に回答して貰った内観報告書と,国際式 10-20 法によるC3とC4 の電極位置における脳波の相関値,橈側手根屈筋の筋電位計測からRHIの強度を客観的に評価した.その結果,RHIの誘導試行を繰り返すことによって,C3-C4の脳波パワーの相関値と内観報告書のRHI関連スコアの上昇か?みられ,RHI に積算性がることか?示唆された.また,試行回数が多い場合はラバーハンドの長さが2 m を越えてもRHI の発現か?確認された.興味深いことに内観報告書にて RHI の発現を感し?ないと報告するものて?も,脳波の相関の上昇や,回避行動か?確認され,非自覚の RHI 発現か?ある可能性か?示唆された.
著者
作田 尋路 工藤 卓
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

脳の情報処理機序の解明には,非線形な神経電気活動パターンのダイナミクスを理解することが重要である.また,近年ディープラーニング(DL)が多分野で高い識別精度を発揮している.そこで本研究では,ラット海馬から調製した生体神経回路網に対して,電気刺激を印加することで観察される誘発応答電位を含む神経電気活動を計測し,異なる刺激に対する応答パターンの識別に対するDL手法の有効性を検証した.時空間的情報の連続性を保持するようにしながら,入力データを画像として作成し,事前学習手法として積層オートエンコーダを用いた積層人工ニューラルネットワークで,神経電気活動パターンの特徴抽出を試みた.その結果,パターン識別の精度は充分ではなかったが,刺激直後2秒のデータのみを識別対象とすることで,識別精度は刺激直後10秒のデータを対象とした場合と比較して約2倍に向上した.神経電気活動のように「ゆらぎ」の大きい現象について,DLの手法によってパターン識別を行う場合は,分類判別基準に対するデータのゆらぎに応じた相当数の入力データが必須であることが確認された.
著者
工藤 卓哉
出版者
秋田大学
雑誌
秋田医学 (ISSN:03866106)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.25-36, 2001
参考文献数
25
被引用文献数
1
著者
工藤 卓 田口 隆久
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.351-358, 2006-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

The spatiotemporal patterns of spontaneous action potential were analyzed, using the multi-site recording system for extracellular potentials of neurons and the living neuronal network cultured on a 2-dimensional electrode array. The map of functional connections between neurons revealed that each culture contained some hub-like neurons, and the connections were drastically re-organized by continuous feedback stimulation. These results strongly suggest that the network structure of the cultured hippocampal neurons is neither stable nor random, but is functionally dynamic and tunable in order to be suitable for certain types of information processing. So we proposed a hypothesis; the interaction to environment generate the specific rules in the spatiotemporal pattern of nerve electrical activities. Our goal is reconstruction of the neural network, which can process “thinking.” in the dissociated culture system.
著者
福井 康弘 伊東 嗣功 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.45, 2013 (Released:2015-01-24)

機能しない神経システムを補完することを目的とした生体の神経回路網と電子回路のインターフェイスを実現するためには,神経回路網のネットワークダイナミクスの解明と,最適な入力手法,出力である神経回路網の発火パターンをデコーディングする手法の開発が必須である.この目的のため,脳における神経情報処理の生体モデルとしてニューロ・ロボットの開発を行っている.生体の神経回路網に,外界からの入力として電流刺激が印加され,刺激による神経回路網の応答パターンによってニューロ・ロボットの行動が生成される.我々が開発しているニューロ・ロボットは,生体神経回路網が上位情報処理装置であり,ソフトウェアによって入出力を調整することによって合目的的行動を生成するように設計されている.本研究では常時教師無し学習を行いながら行動生成を行う自己組織化マップ(SOM)を用いたニューロ・ロボットを開発した.ロボットのIRセンサが識別した左右の障害物の位置に対応した2電極から電流刺激を行い,刺激によって得られる64次元の特徴ベクトルをSOMに入力し,10×10の2次元のマップ空間に写像して次元縮約を行った.学習の初期にのみ,左右の障害物に割り当てた電流刺激に対してあらかじめ選定したノードを強制的に勝者ノードとして教師あり学習を行い,勝者ノードに対して適切な想定動作を関連づけた.これをシーディングと呼ぶ.シーディングにより,左右入力によって誘発された神経電気活動の時空間パターンが互いに重なっていなかった場合,勝者ユニットの分布は左入力に対する勝者ユニットがマップ上の左側に,右入力に対する勝者ユニットが右側にほぼ分離して写像された.また,複数回の入力で選出された勝者ユニットの重心の位置は入力ごとに繰り返しほとんど同じ位置が選択される傾向が確認された.
著者
工藤 卓 徳田 農 清原 藍 田口 隆久 林 勲
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第24回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.44, 2008 (Released:2008-12-06)

ラット海馬神経細胞は、培養皿上で複雑なネットワーク構造を再構成し、相互作用して自発的な活動電位を発現する。我々は64個の微小平面電極から活動電位を計測し、これを解析している。我々は神経回路網と外界を相互作用させるインタフェイスとしてKheperaIIロボットを用い、神経回路網がロボットの動作を制御し、またロボットのセンサ情報が神経回路網に伝達される系を構築した。外界と神経細胞のリンクは学習型ファジィ推論によって、衝突回避行動を埋め込み、実際に、ロボットに平行に設置した2面の壁に衝突することなくその間をジグザグ走行させることに成功した。外界からの入力信号に対する神経細胞の活動電位スパイク頻度はばらつきがあるが、衝突回避走行の後半では、この頻度の標準偏差が、記録された複数の神経細胞間で比較的近い値に収束していく現象が観察された。この現象は神経回路網が短期的な教師無し学習を実現した可能性がある。
著者
福井 康弘 伊東 嗣功 箕嶋 渉 周田 ありす 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.290-295, 2014 (Released:2015-04-01)

脳における高次機能の解明のためには,外界との入出力を備えた神経回路網において,発現する電気活動のパターン変化を定量的に解析する必要がある.この目的のため,生体の神経回路網に電流刺激を与え,刺激によって得られる応答パターンをもとに行動生成を行うニューロ・ロボットの開発を行っている.本研究ではロボットを制御する手法として,常時教師なし学習を行いながら行動生成する自己組織化マップ(SOM)を用いたニューロ・ロボットを開発した.ロボットのIRセンサが識別した障害物の位置に対応して刺激電極に電流刺激を行い,刺激に応答して発現した神経活動パターンを64次元の特徴ベクトルで表現し,これを20×20の2次元マップ空間に次元縮約した.学習の初期課程のみ教師あり学習を行い,刺激による応答を特定のノードに写像させることで異なる刺激点からの刺激誘発応答を2次元空間に分離して写像した.それにより,ニューロ・ロボットの衝突回避行動を生成することに成功した.
著者
工藤 卓哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1217-1220, 2013-11-15

【背景と目的】公共データのオープン化が進んでいる.しかしながら,その定義は提供サイドによりばらつきがあり,利用側も真の利用価値を見出していないケースが多い.しかし,データの利用においては,利便性だけではなく,信憑性や品質,鮮度等の複合的な評価項目が満たされなければ,利用者側で価値を訴求することは難しい.本寄稿の目的は,提供サイドである行政機関やオープンデータ提供事業者が意識すべき事項と,利用者となる企業側においても,最低限求められる素養が存在することを明らかにし,双方に求められる視点をバランスよく紹介することで,真の意味でのデータ利活用を促進することにある.