- 著者
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増野 智章
重永 武彦
西山 譲幾
田中 愛
藤島 宣大
宮﨑 周也
板井 真梨子
畑 正広
門田 淳一
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
- 雑誌
- 気管支学 (ISSN:02872137)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, pp.150-155, 2021
<p><b>背景.</b>レジオネラ肺炎は適切な治療がなされなければ高い死亡率を呈するため,早期診断・早期治療が重要となる疾患であるが,早期診断が困難な症例もある.<b>症例.</b>53歳,男性.発熱を主訴に近医を受診し,細菌性肺炎と診断され,セフトリアキソンが投与されたが改善がみられなかったため,当院に転院となった.抗菌療法が無効であったことと,胸部CT画像から器質化肺炎が疑われた.感染と器質化肺炎の鑑別を目的に,入院直後気管支肺胞洗浄を行ったが,入院時に尿が採取できず尿中レジオネラ抗原検査が施行できなかったため,試験的に尿中レジオネラ抗原検査を気管支肺胞洗浄液(BALF)で代用して行ったところ,陽性の結果が得られた.これによりレジオネラ肺炎が示唆され,その後の尿によるレジオネラ抗原検査でレジオネラ肺炎と診断した.速やかにレボフロキサシン,アジスロマイシンによる治療を開始し,良好な治療経過が得られ,第9病日に退院となった.<b>結論.</b>レジオネラ肺炎が疑われる症例において,尿採取が困難な場合には,尿中レジオネラ抗原検査をBALFで代用しうる可能性が示唆された.</p>