著者
畑中 宏之 稲田 善和 谷口 順彦
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.241-247, 1991

低水温ショック法または高水圧ショック法により, アユの人為三倍体を作出し, 正常二倍体と比較しながら三倍体の成長および成熟における特性の解明を試みた。未成魚期の成長および飼料効率については三倍体がやや劣る傾向が認められた。適性な飼育条件の検討の必要性が示唆された。成熟が始まると, 二倍体が成長の停滞を示し, 産卵期が終わると死亡するのに対し, 三倍体の雌魚は越年後も死亡することなく順調に成長した。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.141-146, 1996-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

マナマコをポリカーボネート波板で採苗する時に, 波板に対する付着数にバラツキが発生する。種苗生産過程における飼育密度が成長におよぼす影響について調べた。日間成長率と飼育密度の間に負の相関関係がみられた。体長の変動係数と歪度は, 飼育密度が高くなるに従い大きくなる傾向がみられた。一方, 低飼育密度の体長組成は正規分布に近い形となった。人為的に均一に再付着させた2つの実験区の体長組成は, 最も正規分布に近い形となった。マナマコの種苗生産において, コレクターに対する付着密度を均一にすることは, 成長を良くし, さらに大小のバラツキを小さくすることができると考えられた。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.227-230, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9
被引用文献数
2

タグ標識法により, ナマコこぎ網の漁獲効率を推定した。試験は, 小浜湾東部に位置する2つの海域を選んだ。両海域の底質は共に泥質であるが, 1つの海域はカキ殻が散在していた。タグを打ったアオナマコを試験海域に均一に放流し, ナマコこぎ網を放流後10分以内に曳網した。漁獲効率の推定は放流数と再捕数の割合から求めた。その値は, 単なる泥質では0.780が, カキ殻が散在する底質では0.555が推定され, 漁獲効率は海底が平坦でない場合は低下すると考えられた。また, 得られた漁獲効率から天然集団の生息密度は, A地点で3.74個体/100m2およびB地点で7.45個体/100m2と推定した。
著者
畑中 宏之 上奥 秀樹 安田 徹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.563-566, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

イトマキヒトデがマナマコを捕食するに際し, マナマコのサイズおよび水温が捕食に及ぼす影響について調べた。捕食試験では, 平均腕長43.3mmのイトマキヒトデは, 平均体長15.9, 30.1, 40.0, 54.6mmのマナマコを, それぞれ1日当り1.8, 0.5, 0.1, 0個体捕食した。また, 平均腕長46.2mmのイトマキヒトデは, 水温が20, 15, 10℃の場合, 平均体長29.2mmのマナマコをそれぞれ1日当り0.9, 0.8, 0.2個体捕食した。イトマキヒトデによるマナマコの捕食量は, マナマコのサイズが大きくなるにつれて減少し, また, 水温が下がるに従い減少するものと考えられた。