著者
高谷 寿子 粂井 美起 畑中 幸世 吉村 清美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.154, 2010

1 はじめに<BR> 両親から離れてNICUで過ごす児にとって両親の面会は親子関係を育む重要な場となる。両親は面会において様々な不安や戸惑い・緊張感を感じている。A病院NICUでは面会者の不安や緊張の緩和を目的に音楽を流している。面会中の両親にアンケート調査を行った結果、音楽は両親の不安や緊張を和らげ安心した状態で親子関係を築くことに繋がったのでここに報告する。<BR><BR>2 研究方法<BR>(1)期間:平成22年1月~3月<BR>(2)対象:NICUに面会に来た児の両親17名<BR>(3)方法:(1)面会時間毎にジャンルの違う曲を流す<BR> (2)アンケート調査<BR>(4)倫理的配慮:無記名回答、研究の目的、目的以外には使用しないことを書面にて説明、同意を得た。<BR><BR>3 結果<BR> NICUでは機械のアラーム音が気になると75%が答えており、癒しの音楽が流れていることに全員が気付いていた。音楽により「気分転換になった」が83%であり、内容は「音楽に気が向き不安・緊張が和らいだ」、「リラックスできた」、「明るい優しい気分になった」が挙げられた。音楽は授乳や抱っこの時に感じるが67%で、全員が癒しとなる音楽を継続して流してほしいと答えている。音楽の好感度順はヒーリング曲44%、クラシック曲33%でオルゴール曲、歌謡曲と続いた。<BR><BR>4 考察<BR> 様々な不安や戸惑い・緊張を抱えて両親はNICUの面会に来る。モニターやアラームなどの機械音が面会者の不安や緊張を高めたと考えられる。筒井らは「BGMは無意識的に情感を揺する力をもち、緊張・不安の緩和を図るものだ」<SUP>1)</SUP>と述べている。音楽は両親の不安や緊張を和らげ、その結果児との関わりを深めることに繋がった。NICUで音楽を流すことは面会中の両親が安心して児と触れ合い親子関係を築いていく上で効果的であったと言える。<BR><BR>5 まとめ<BR>(1)NICUで音楽を流すことは面会者にリラクゼーション効果をもたらし、ストレス軽減に有効である。<BR>(2)音楽はNICUの面会環境づくりに効果的である。<BR><BR>(引用文献)<BR>1)筒井末春:心の健康と音楽、看護展望、12、1987