著者
坂本 信介 畔柳 聴 右京 里那 小林 郁雄 家入 誠二
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.99-105, 2019 (Released:2019-11-13)
参考文献数
17

牧場への野生動物の侵入をカメラトラップ法で調べる際に,カメラの設置位置や設置時期によって結果が大きく変わるかを調べるため,同一牧場内の様々な施設の内外に 1 年にわたり自動撮影カメラを 9 台設置し,飼養形態や利用方式が異なる施設ごとにまた季節ごとに野生哺乳類の出現状況を比較した.哺乳類の撮影頻度は施設間で大きく異なっており,相対的に乳牛舎内,肥育牛舎外,繁殖牛舎外では,食肉類の撮影頻度が高い傾向にあった.また,肥育牛舎,繁殖牛舎,倉庫では,動物の撮影頻度のうちわけが施設の内外で大きく異なっていた.イエネズミとノネズミのどちらもが施設外で撮影されたため,イエネズミの施設内外の移動と施設外での両者の直接的・間接的接触が懸念された.また各動物の出現頻度には季節性が見られた.以上の結果から,牧場内でカメラトラップ法を用いる際には,撮影地点や設置時期の選定が調査結果に影響を及ぼすと考えられる.