著者
柊崎 京子 人見 優子 畠山 千春
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
no.27, pp.17-49, 2011-03-31

本研究は、「身体障害のある施設利用者の生活ニーズ」を把握するために実施した質問紙調査(先行研究)における「自由記述回答」を分析し、統計的データのみでは把握することのできない個別的なニーズや、主観的ニーズの背景要因について把握することを目的とした。 自由記述を45 サブグループ別に整理した結果、ニーズは一人ひとり個別性があるとともに、施設利用者のニーズは共通性もあることが示唆された。7 領域別に自由記述を分析し、以下の結論を得た。(1)主観的ニーズは、本人要因及び本人以外の要因により発生するとともに、同要因の影響を受けて判断・表出されることが示唆された。(2)本人以外及び本人と環境との相互作用を含む要因は、a)他利用者との関係性や、職員の支援体制及び職員との関係性を含む人的環境、b)施設の物理的環境や物理的な面での構造的問題、c)施設の方針や規則、支援体制などの施設内における内的体制、d)施設の地域環境や地域資源、e)福祉制度である。(3)自由記述に記された要望・意見は、支援の方向性を検討する上で示唆深い。