著者
畠山 義彦
出版者
日本野鳥の会 神奈川支部
雑誌
BINOS (ISSN:13451227)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-45, 2018-11-02 (Released:2020-01-12)
参考文献数
2
著者
畠山 義彦
出版者
日本野鳥の会 神奈川支部
雑誌
BINOS (ISSN:13451227)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-14, 2017-11-01 (Released:2020-01-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2

巣箱内に赤外線カメラを設置した巣箱観察システムを用いて、ヤマガラの営巣時における行動を観察した。営巣期間は巣作り開始の3月10日から巣立ちの5月11日まで53日間であった。巣材を巣箱に運び入れる前に親鳥♀が巣箱内の壁や床を嘴でつついたり、床の上で羽を広げ泳ぐように羽ばたいたりする行動がみられた。産卵時には毎朝早朝1個ずつ産卵するが、親鳥が巣箱に入る時間は空が白み始める時間であった。親鳥♀は産卵期には、1日1個の卵を体内で作らなければならず、そのための効率的な産卵時刻として早朝を選択したと考えられる。育雛時の雨天の日は、雛の成長が鈍りその影響が翌日まで及ぶことが確認された。これは雛の成長の条件として日中の採食が影響していると考えられる。雛の総排泄腔より排泄され、風船のように膨らんだ排泄物を親鳥が食べるか外へ運び出す様子が確認された。成鳥の排泄物は液体状に近いものであるが、雛の排泄物は親鳥が処理しやすいよう膜状の物質に被われており、排泄物が散乱しないような構造になっていると考えられる。
著者
畠山 義彦
出版者
日本野鳥の会 神奈川支部
雑誌
BINOS (ISSN:13451227)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.41-51, 2019-12-01 (Released:2020-01-08)
参考文献数
13

巣箱内に赤外線カメラを設置した巣箱観察システムを用いて、シジュウカラの営巣時における行動を観察した。営巣期間は巣作り開始の3月16日から巣立ちの5月8日まで54日間であった。抱卵時間と雨量、湿度、日射量の間には相関関係が見られ、雨の日には抱卵時間が短かった。雨量が多い日は食料調達が困難であり、親鳥♀自身の採食時間の確保が必要なため、抱卵時間が短くなったと推測される。巣内育雛期間においては雨の日は雛への与食回数が減り、雨が雛の成長に影響を与えていることがわかった。また1日の与食回数は与食開始から5 日目までは増加傾向にあったがそれ以降は減少している。しかし雛の体長は増加していっている。これは親鳥が1回に運んでくる虫の大きさが最初は小さかったが、次第に大きい虫へと変わっていき、与食回数は少なくなっても食べ物の総量は増えていっているからと考えられる。 巣内育雛期間において雛の羽毛が一定レベル以上に達 して抱雛が必要ないと考えられる日でも夜間の抱雛が 観察された。これは当日雨が降り、濡れた親鳥から与 食を受けた雛も濡れ、雛の身体に付着した水滴の蒸発 により気化熱を奪われ、体温低下を招き雛が衰弱する 可能性があり、これを防ぐために抱雛が行われると推 測する。