- 著者
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畠山 義彦
- 出版者
- 日本野鳥の会 神奈川支部
- 雑誌
- BINOS (ISSN:13451227)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, pp.1-14, 2017-11-01 (Released:2020-01-12)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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2
巣箱内に赤外線カメラを設置した巣箱観察システムを用いて、ヤマガラの営巣時における行動を観察した。営巣期間は巣作り開始の3月10日から巣立ちの5月11日まで53日間であった。巣材を巣箱に運び入れる前に親鳥♀が巣箱内の壁や床を嘴でつついたり、床の上で羽を広げ泳ぐように羽ばたいたりする行動がみられた。産卵時には毎朝早朝1個ずつ産卵するが、親鳥が巣箱に入る時間は空が白み始める時間であった。親鳥♀は産卵期には、1日1個の卵を体内で作らなければならず、そのための効率的な産卵時刻として早朝を選択したと考えられる。育雛時の雨天の日は、雛の成長が鈍りその影響が翌日まで及ぶことが確認された。これは雛の成長の条件として日中の採食が影響していると考えられる。雛の総排泄腔より排泄され、風船のように膨らんだ排泄物を親鳥が食べるか外へ運び出す様子が確認された。成鳥の排泄物は液体状に近いものであるが、雛の排泄物は親鳥が処理しやすいよう膜状の物質に被われており、排泄物が散乱しないような構造になっていると考えられる。