著者
神山 かおる 畠山 英子 小林 知子 八城 正典 東 輝明 境 知子 鈴木 建夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.822-827, 2000-11-15
被引用文献数
5 6

おやつ昆布の咀嚼機能食品としての特性を明らかにするために,引っ張り試験機による破断測定,官能評価,咀嚼筋筋電位ならびに咀嚼圧計測を行った.今回用いた4種の昆布では,破断応力は変化しないが,厚みが異なるため,破断荷重は異なった.官能評価では,破断に大きな力を要したものが噛みにくいと判断された.筋電位計測では,噛みにくいと判断された試料では,咀嚼時間や咀嚼回数,全咀嚼筋活動量が大きくなった.昆布のように咀嚼圧よりも高い破断応力をもつ試料の力学特性は,ヒトの嚥下までの咀嚼挙動に影響し,破断荷重の高い試料を,ヒトは咀嚼回数を多くし,長時間をかけて咀嚼し,噛みにくいと感じることが示唆された.一方,一回目の咀嚼に要する咀嚼圧や感圧面積等には,試料の力学特性の影響は観られなかった.
著者
神山 かおる 中山 裕子 佐々木 朋子 福島 富士子 畠山 英子
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-81, 2003

この研究は, 食事一食分の咀嚼量を筋電図により定量化する試みである. 和・洋の4種類の食事メニュー摂取挙動を, 咀嚼筋筋電位とビデオ観察を用いて解析した. 一食分量の咀嚼量を, 特に主食 (米飯類またはパン) について比較した.<BR>軟らかいパンであっても白飯より咀嚼量は高値であった. 和食では各料理がバランスよく咀嚼されるのに対し, 洋食では主食であるパンに咀嚼量割合が偏る傾向にあった.<BR>厚生労働省基準による「かたさ」で咀嚼困難者に適するとされても, フランスパンなどの咀嚼量が多く噛みにくい食品が存在した.<BR>近年の食事における咀嚼不足の傾向は, 食の洋風化の影響ともいわれているが, 洋食化が咀嚼量を減らすとは限らないことが示唆された.<BR>軟らかく調理された全粥を白飯と比較すると, 同一エネルギーを摂取するために, 粥では容積が増すため, より多数回・長時間の咀嚼を必要とした. この事実は, 軟らかい食品が必ずしも食べやすいとは限らないことを示している.