著者
二木 武
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.11-18, 1991-12-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
11
著者
松田 秀人 高田 和夫 橋本 和佳 栗崎 吉博 伊藤 裕 長嶋 正實 斉藤 滋
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.95-100, 2001

咀嚼能力の測定にジューシーフレッシュガムを用いていたが, 製造中止となったため, 代替ガムの選定を目的とした. 咀嚼能力測定ガムとして, 5種類のガムを試みたが, 歯科用キシリトールガムが最適であった. 噛む回数が20~60回では, 噛む回数に正比例して溶出糖量が直線的に増加し, その相関係数はR<SUP>2</SUP>=0.9946であった. また噛むのに要した時間は, 噛む回数に比例して直線的に増加し, その相関係数はR<SUP>2</SUP>=0.998であった. 歯科用キシリトールガムを用いて咀嚼能力を測定する際の噛む回数は, 噛む回数と溶出糖量が正比例の関係にある20~60回の中間の40回が妥当であり, このガムを用いて咀嚼能力を測定することが可能である. 他のガムの場合にはこのような結果が得られなかった.<BR>実際に歯科用キシリトールガムを用いて, 高校1年生を対象に咀嚼能力を測定したところ, 溶出糖量と人数との関係は正規分布に近い形を示した. しかも, 男女生徒間の溶出糖量には有意差が認められた. また, 咀嚼能力が強い群が21人 (16.7%), 咀嚼能力が普通の群が85人 (67.5%), 咀嚼能力が弱い群が20人 (15.9%) となった.これらの結果は, ジューシーフレッシュガムを使用した場合と同様な結果となり, 咀嚼能力の測定には, 製造中止となったジューシーフレッシュガムに代わり, 歯科用キシリトールガムが使用可能である.
著者
大塚 公彦 工藤 照三 滝口 俊男 大熊 浩
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-16, 1997

本研究はガム咀嚼のリラックス効果の研究の一環として, その効果が予想される成分と香料を含んだガム (特性リラックスガムII) を試作し, そのガムの有効性をみるため市販されているガム (リラックスガムI: 商品名リラックス,(株) ロッテ製) を対照として実験調査を行い評価したものである.<BR>実験の内容についてはリラックス状態を2つの方法により捉えた.第1は大脳におけるα波の出現量, 第2は計算作業量である.被験者は健常な19~21歳の男女各6名, 計12名を用いた.<BR>測定項目は通常時の脳波と計算作業をコントロールとしてガム咀嚼後の脳波と計算作業およびガム咀嚼後の脳波と計算作業とした.実験結果, α 波の出現量はコントロールを基準としガム咀嚼後は平均5.1%の増加, ガム咀嚼後は12.1%の増加が認められた.また, 作業量についてはコントロールを基準としガム咀嚼後は6.4%の増加, ガム咀嚼後は16.9%の増加が認められた.<BR>これらの結果からリラックスガムの咀嚼行動は大脳におけるα波の出現量を増加させることや作業量の増加に効果があることが認められた.このことはガムの咀嚼行動がヒトに対するリラックス効果やそれによる集中力の向上に影響を与えたことであり, とりわけその傾向はリラックスガムに顕著にみられた.
著者
田口 智久 志賀 博 小林 義典 荒川 一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-21, 2003

咀嚼運動の安定性の定量的評価に際し, グミゼリー咀嚼時の最適な分析区間を明らかにする目的で, 健常者20名にグミゼリーを主咀嚼側で20秒間咀嚼させ, 咀嚼開始後の第1サイクルから第30サイクルまでの30サイクルにおける咀嚼開始後の1サイクルごとに順次起点とした各連続10サイクル (第1~第21シリーズ) の運動経路と運動リズムの安定性について, シリーズ間で定量的に比較し, 以下の結論を得た.<BR>開口時側方成分, 閉口時側方成分, 垂直成分の各SD/OD (標準偏差を開口量で除した値) の平均値は, 開口時側方成分では, 第6シリーズ, 閉口時側方成分と垂直成分では, 第5シリーズで最小値を示した. 開口相時間, 閉口相時間, 咬合相時間, サイクルタイムの各変動係数の平均値は, 開口相時間とサイクルタイムでは, 第5シリーズ, 閉口相時間では, 第6シリーズ, 咬合相時間では, 第7シリーズで最小値を示した. また, 第5シリーズの各指標値は, 第6シリーズと第7シリーズの各指標値に近似した. これらのことから, グミゼリー咀嚼時の咀嚼運動は, 開始後の第5シリーズ, すなわち咀嚼開始後の第5サイクルからの10サイクルが最も安定し, 咀嚼運動の安定性の定量的評価のための最適な分析区間であることが示唆された.
著者
渡辺 和宏
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.13-20, 1995-12-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9
著者
吉野 陽子 神山 麻子 佐藤 宣雄 鈴木 正成
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.77-83, 2003

幼児から高齢者までの幅広い年齢層を対象として咀嚼力を調べ, これらが環境要因である体格や運動習慣, および遺伝的要因と関連があるかどうかを検討することを目的とした. 調査対象者は女性1, 337名, 男性767名の計2, 104名であり, 年齢は3~97歳であった. 咀嚼力は, チューインガム法による糖溶出量を指標とした. 質問形式によって身長と体重, 運動習慣の有無, および家族構成を調べた.<BR>咀嚼力が体格指数であるBodyMassIndex (BMI) と関連があるかどうかを調べた結果, 各年代別では有意差の認められた年代はあったが, 一様の傾向はみられなかった. したがって, 肥満と咀嚼力の間には有意な相関はないと考えられた.<BR>運動習慣との関係を調べたところ, 男性では19~29歳を除いた年代において, 運動習慣のある人はない人に比べて咀嚼力が高かった. 女性では, すべての年代において運動習慣のある人のほうが咀嚼力は高かった.<BR>咀嚼力と遺伝的要因との関係を調べるために, 同一家族内で咀嚼力がどの程度関係しているかを検討した. その結果, 夫婦間ではあまり関係がみられなかった. したがって, 環境要因単独では咀嚼力に影響を与えないことが示唆された. また, 親子間 (父子, 母子) および子ども間 (姉妹, 兄弟) で関連性がみられた. したがって, 遺伝的要因単独, あるいは環境要因と遺伝的要因の双方が咀嚼力と関与するのではないかと考えられた. また, 父と子の間では息子のほうが, また母と子の間では娘のほうが咀嚼力の程度は一致する割合が高いことが示唆された.
著者
神山 かおる 中山 裕子 佐々木 朋子 福島 富士子 畠山 英子
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-81, 2003

この研究は, 食事一食分の咀嚼量を筋電図により定量化する試みである. 和・洋の4種類の食事メニュー摂取挙動を, 咀嚼筋筋電位とビデオ観察を用いて解析した. 一食分量の咀嚼量を, 特に主食 (米飯類またはパン) について比較した.<BR>軟らかいパンであっても白飯より咀嚼量は高値であった. 和食では各料理がバランスよく咀嚼されるのに対し, 洋食では主食であるパンに咀嚼量割合が偏る傾向にあった.<BR>厚生労働省基準による「かたさ」で咀嚼困難者に適するとされても, フランスパンなどの咀嚼量が多く噛みにくい食品が存在した.<BR>近年の食事における咀嚼不足の傾向は, 食の洋風化の影響ともいわれているが, 洋食化が咀嚼量を減らすとは限らないことが示唆された.<BR>軟らかく調理された全粥を白飯と比較すると, 同一エネルギーを摂取するために, 粥では容積が増すため, より多数回・長時間の咀嚼を必要とした. この事実は, 軟らかい食品が必ずしも食べやすいとは限らないことを示している.

1 0 0 0 OA 食欲と味覚

著者
河村 洋二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.17-26, 1996-12-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
12
著者
塩澤 光一 神山 かおる 柳沢 慧二
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.117-121, 2002-03-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3

咀嚼時の唾液分泌量の増加が嚥下誘発にどのような影響を与えるかを調べるために, 嚥下までの咀嚼回数と唾液分泌量について11名の成人被験者で調べた. 0.2M酒石酸 (酸刺激) およびコントロールとして蒸留水 (DW刺激) に浸けた濾紙片をそれぞれ被験者の舌背に1分間載せた後, グミ及びモチをそれぞれ嚥下まで咀嚼させた. 嚥下までの咀嚼回数はグミ咀嚼, モチ咀嚼どちらの場合でも, 酸刺激後の咀嚼の方がコントロール (DW刺激後) に比べて有意 (P<0.001) に減少したが, 嚥下までに分泌された唾液分泌量は, グミ咀嚼, モチ咀嚼どちらの場合でも有意な差は認められなかった. また, 嚥下直前の顎舌骨筋活動量は, 酸刺激後とコントロールとで有意な差は認められなかった. これらの結果から, 同じ食品を同一量咀嚼する場合には嚥下までに分泌される唾液分泌量は常に一定であることが示唆された.