- 著者
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疋田 泰章
- 出版者
- 素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
- 雑誌
- 素粒子論研究 (ISSN:03711838)
- 巻号頁・発行日
- vol.117, no.6, pp.F73-F78, 2010-02-20 (Released:2017-10-02)
ホログラフィック双対性の最も有名な例としてAdS/CFT対応があるが、この対応を用いることでゲージ理論の強結合領域を古典重力理論を用いて調べることができる。QCDの強結合領域に関する成功をもとにして、最近ではその対象を広げて物性系に応用しようという試みがなされている。特に高温超伝導では強相関物理が重要であると言われており、ホログラフィック双対な記述が有効であると期待できる。超伝導相ではクーパー対に対応する演算子が凝縮していると考えられるため、双対な重力理論ではその演算子に双対なスカラー場が凝縮する必要がある。ここでは、超伝導に関する話題を中心に、不純物のある系に関する我々の研究も含めた最近の発展を紹介する。