著者
大塚 邦子 正野 逸子 日浦 瑞枝 白井 由里子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.98-104, 1999-11-01
被引用文献数
2

高齢者の看護は,看護する者の老人観に左右されると言われている.老人看護の授業開始に当たり,看護学生が持っている老人のイメージをSD法によるイメージ評価と描画の2方向から調査し,分析を試みた.イメージでは全体的に肯定的イメージを持っており,老人のイメージと学生の体験とで関連があったものは会話頻度であった.描画では,身体的特徴として「白髪・しわのある老人」を7割以上,「はげや腰が曲がっている老人」を3割以上の学生が描画していた.6割の学生が,散歩・ゲートボール・買い物・盆栽・畑仕事等の屋外で活動する老人を描いており,老人を屋内に閉じこもった存在としては意識していないことがわかった.イメージ評価と描画の関連では,「さっそうとしている」の項目で平均点以上であった学生は,描画において活動的な老人を描いているものが有意に多かった.今回の結果から,老人のイメージには学生が老人とどのようなかかわり方をしてきたかが影響する,また,描画を用いることにより学生が老人をどのように理解しているかを具体的に把握することができる,ことがわかった.