著者
中島 寅彦 中村 和正 白土 秀樹 安松 隆治 藤 賢史 塩山 善之 小宗 静男
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.456-462, 2010 (Released:2011-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
4 9

当科では舌癌T1/T2N0症例に対しては原則として予防的頸部郭清術は行わず, 舌部分切除術 (口内法) か小線源療法を患者が治療法を選択するという方針をとってきた. 今回1995年から2006年までに当科にて舌部分切除術を施行した早期舌癌症例39症例 (27歳~92歳) を対象として後発リンパ節転移, 予後の解析を行った. 症例の内訳はT1症例26例, T2症例13例であった. 局所再発を4例 (10%), 後発頸部リンパ節転移を9例 (23%) に認め, 全症例救済手術を行った. 手術群の疾患特異的5年生存率は87.0%, 粗生存率は71.2%であった.ほぼ同時期に当院放射線科にて小線源療法を行った早期舌癌症例 (107例) では局所再発13%, 後発頸部リンパ節転移24%を認め, 小線源療法群の疾患特異的5年生存率は90.7%, 粗生存率は81.3%であった. 初診時のT分類別の5年生存率の比較においても手術療法と放射線治療の成績に統計学的有意差はなかった.以上の結果から, 頭頸部外科医は各治療法の長所, 欠点を適切にインフォームドコンセントし, 患者自身が治療法を選択する方針でよいと考えられる.
著者
安達 一雄 梅崎 俊郎 清原 英之 白土 秀樹 中島 寅彦 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.235-241, 2007-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
4

頸部郭清術の嚥下機能に対する影響について検討を行った。頸部郭清術を行う際に迷走神経咽頭枝を損傷すると咽頭筋麻痺によりクリアランスが低下する。今回の検討では再建例も多く、クリアランス低下に加え、喉頭挙上制限や、嚥下惹起が遅延することで、誤嚥のリスクが高まることが明らかとなった。そのため、極力迷走神経咽頭枝を温存すべきであると考える。
著者
成山 謙一 田中 俊一郎 白土 秀樹 小池 浩次 平川 直也 中島 寅彦 小宗 静男 中村 和正 野元 諭 塩山 善之
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.204-213, 2007-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
17

サイバーナイフは、小型直線加速器、ロボットアームと位置確認システムから構成される定位放射線照射治療装置である。一般的に頭蓋内疾患 (脳腫瘍、動静脈奇形など) に施行されるが、頭頸部疾患として鼻副鼻腔、上中咽頭、口腔底腫瘍、その他に頸椎、頸髄疾患等に施行されている。当科では、T4特に頭蓋底や眼窩浸潤症例、および大血管浸潤などの手術不能例や、手術可能でも機能温存などの点で患者が手術拒否した症例などに対して施行している。今回、われわれは当院にてサイバーナイフ治療を施行した鼻副鼻腔悪性腫瘍症例6例について検討した。全6例の内訳は、男性4例、女性2例。平均年齢は62歳であった。組織別には、嗅神経芽細胞腫が2例、扁平上皮癌、悪性黒色腫、甲状腺乳頭癌転移例、円柱上皮癌が各1例であった。これらの症例に対して、外照射約50Gy施行し、効果について評価した後、本法を施行した。本法のみの照射量は20-30Gy、平均23Gyであった。効果は、CR3例、PR3例であり、奏功率は100%であった。本法はガンマナイフに比べて、固定フレームが不要のため、適応照射範囲が広い。さらに照射線量を均一にでき照射精度も高く、放射線障害の低減が期待できる。今後の鼻副鼻腔悪性腫瘍治療に対して、本法は機能温存やquality of life (QOL) の改善の点で有用な治療法と考えられる。
著者
白土 秀樹
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.96-100, 2012 (Released:2013-01-18)
参考文献数
6
被引用文献数
2

- 副耳下腺腫瘍について -