- 著者
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森 里美
伊東 育美
白山 義洋
飯田 真也
二宮 正樹
白石 純一郎
岡崎 哲也
- 出版者
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会
- 雑誌
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
- 巻号頁・発行日
- pp.200, 2016 (Released:2016-11-22)
【目的】パーキンソン病は振戦・筋固縮・動作緩慢・姿勢反射障害の症状を呈し、上肢機能では巧緻性動作低下を生ずる場合が多い。しかし、上肢機能におけるリハビリテーション介入効果に関する報告は少ない。今回、パーキンソン病患者を対象とした上肢機能の変化を2~3週間における短期集中リハビリテーション入院前後で比較、検討したので報告する。【方法】対象はパーキンソン病患者21名(男性6名、女性15名、Hoehn&Yahr分類:stageⅠ2名stageⅡ4名stageⅢ12名stageⅣ3名、年齢:71.2±9.2歳、固縮・振戦症状優位側(以下優位側)は右手9名、左手12名)。短期集中リハビリテーション入院では、薬剤調整は行わず、理学療法・作業療法、必要に応じて言語療法を行った。作業療法では関節可動域訓練、筋力増強訓練、巧緻性動作訓練、協調性動作訓練を実施した。上肢機能評価は簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function 以下STEF)を使用した。短期集中リハビリテーション入院前後でのSTEF総得点・各項目所要時間の比較にWilcoxon検定を用いた。有意水準をp<0.05とした。【結果】短期集中リハビリテーション入院前後では優位側・非優位側ともにSTEF総得点に有意な改善がみられた(STEF総得点(平均±標準偏差)優位側:前77.7±18.2点 後83.3±16.8点 非優位側:前80.1±18.0点 後86.6±14.4点)。STEFの各項目別にみると、優位側では大球(項目1)・中球(項目2)・大直方(項目3)・中立方(項目4)・木円板(項目5)・小立方(項目6)・布(項目7)・金円板(項目8)で有意な改善を認めた。非優位側では中球(項目2)・大直方(項目3)・中立方(項目4)・木円板(項目5)・小立方(項目6)・布(項目7)・小球(項目9)・ピン(項目10)で有意な改善を認めた。優位側では小球(項目9)・ピン(項目10)、非優位側では大球(項目1)・金円板(項目8)で有意な改善を認めなかった。【まとめ】当院での短期集中リハビリテーション入院により上肢機能は改善した。優位側では粗大な運動項目は改善したが、巧緻性動作に関しては改善しにくい傾向にあった。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の計画立案に際し、事前に所属施設の倫理審査員会の承認を得た(承認番号H25-0965)。また研究を実施に際し、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。製薬企業や医療機器メーカーから研究者へ提供される謝金や研究費、株式、サービス等は一切受けておらず、利益相反に関する開示事項はない。