著者
渡邉 京子 東 泰孝 白数 慎也 大東 道治 大浦 清
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.105-110, 2003-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
35

マクロファージは感染制御に必要不可欠であり, 自然免疫機構において重要な役割を担っている.感染が惹起されるとlipopolysaccharide (LPS) がマクロファージを刺激し, 炎症性サイトカインが産生される.一方, adenosineおよびATPは免疫刺激によっても細胞外へと放出された後, 様々な免疫機能を調節することが知られている.そこでわれわれは炎症やTh1/Th2バランスに関与するサイトカイン産生に対するadenosineおよびATPの免疫学的影響を検討した.AdenosineおよびATPはそれぞれマクロファージによるIL-10産生能を増強させたが, IL-1βおよびIL-12の産生能には影響を与えなかった.さらに, adenosineおよびATPはLPSで刺激したマクロファージによるIL.1βおよびIL-12に産生能を抑制した.これに対して, adenosineはLPSで刺激したマクロファージによるIL-10産生能を抑制したが, ATPは同IL-10産生能を増強した.以上の結果より, adenosineおよびATPが増加するような条件下においては, Th1やTh2免疫応答を含む広範囲な免疫反応に, なんらかの重要な役割を担っている可能性が示唆される.