著者
渡邉 京子 東 泰孝 白数 慎也 大東 道治 大浦 清
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.105-110, 2003-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
35

マクロファージは感染制御に必要不可欠であり, 自然免疫機構において重要な役割を担っている.感染が惹起されるとlipopolysaccharide (LPS) がマクロファージを刺激し, 炎症性サイトカインが産生される.一方, adenosineおよびATPは免疫刺激によっても細胞外へと放出された後, 様々な免疫機能を調節することが知られている.そこでわれわれは炎症やTh1/Th2バランスに関与するサイトカイン産生に対するadenosineおよびATPの免疫学的影響を検討した.AdenosineおよびATPはそれぞれマクロファージによるIL-10産生能を増強させたが, IL-1βおよびIL-12の産生能には影響を与えなかった.さらに, adenosineおよびATPはLPSで刺激したマクロファージによるIL.1βおよびIL-12に産生能を抑制した.これに対して, adenosineはLPSで刺激したマクロファージによるIL-10産生能を抑制したが, ATPは同IL-10産生能を増強した.以上の結果より, adenosineおよびATPが増加するような条件下においては, Th1やTh2免疫応答を含む広範囲な免疫反応に, なんらかの重要な役割を担っている可能性が示唆される.
著者
菊池 優子 四井 資隆 清水谷 公成 古跡 養之眞 嘉藤 幹夫 大東 道治
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.187-191, 1995-03-25
参考文献数
6
被引用文献数
2

小児の頭部外傷は救急病院を受診したのちに歯科系病院を経由するのが一般的である. しかしながら,救急病院においては顎口腔領域の異常を訴えても,後頭前頭位撮影や側方向撮影などの単純撮影のみの診査に留まることが多い. 特に小児の場合には未萌出歯,永久歯胚が顎骨内に混在しているため顎骨骨折の有無についての判断は極めて困難である.<BR>そこで,今回われわれは1989年から1993年までに,大阪歯科大学附属病院歯科放射線科を受診した12歳以下の顎骨骨折48例のうち下顎骨骨折26例を対象として,臨床所見を集計し,その特徴を探ると共に診断を行う場合の注意点について検討したところ以下の結果を得た.<BR>1.小児の下顎骨骨折26例の年齢性別分布には特徴はみられなかった.<BR>2. 歯の外傷を伴う下顎骨骨折は26例中3例であった.<BR>3.部位では下顎骨頸部骨折(骨折線44本中24本,54.5%)が多く認められた.<BR>4.他施設にて骨折なしと診断された4例に下顎骨骨折を認めた.
著者
井上 美津子 浅里 仁 池田 訓子 小林 聡美 佐々 龍二 高木 裕三 朝田 芳信 大嶋 隆 小口 春久 田中 光郎 前田 隆秀 宮沢 裕夫 藥師寺 仁 渡部 茂 真柳 秀昭 鈴木 康生 下岡 正八 野田 忠 渋井 尚武 進士 久明 田村 康夫 土屋 友幸 大東 道治 香西 克之 西野 瑞穂 木村 光孝 本川 渉 藤原 卓 山崎 要一 吉田 昊哲 丸山 進一郎 嘉ノ海 龍三 品川 光春
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.561-570, 2005-12-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.<BR>1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.<BR>2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3<BR>.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.<BR>4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.<BR>5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.<BR>6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.
著者
辰巳 浩隆 黒田 洋生 竹本 靖子 小川 歓 福島 久典 佐川 寛典 植野 茂 白数 力也 神原 正樹 大東 道治 毛利 学
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-407, 1994
被引用文献数
14

臨床の場から分離した methicillin-resistant staphylococci (MRS) 8株と標準株4株に対するアクア酸化水の殺菌効果を検索するために, アクア酸化水と対照の消毒剤 (グルタルアルデヒド, 次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム) の最小殺菌濃度を測定し, 比較検討した.<br> その結果, 4倍希釈したアクア酸化水では, 標準株の <i>Staphylococcus aureus</i> Oxford 209P と <i>Candida albicans</i> ATCC 10259 の発育が, また2倍希釈液では <i>Staphlococcus aureus</i> Oxford 209P の発育が認められた. しかし, 原液のアクア酸化水では, すべての供試菌株に対して全接触時間とも菌の発育が抑制された. 一方, 対照の消毒剤では, MRS 1株に対する 0.01% 次亜塩素酸ナトリウムの場合を除いて, すべて有効であった.<br> このことから, 原液のアクア酸化水は, 対照の消毒剤と同等あるいはそれ以上の優れた殺菌力を有すると考えられる.