- 著者
-
山田 修
白澤 陽治
- 出版者
- 東京藝術大学
- 雑誌
- 挑戦的研究(萌芽)
- 巻号頁・発行日
- 2017-06-30
平成29年度はARのソフトウェアにおける精度検証や、様々なデバイスでの動作検証を行った。iPad、iPhoneといったタブレット用のソフトウェアも今では充実し、簡易な操作でARを試すことが可能になった。特にその中でENTiTiというソフトウェアを利用し検証を行った。まず実際の像と3Dデータの位置が正確にマッチングするかどうかの精度検証を行った。不規則な模様をプリントしたものをターゲットとして実際の像の下に配置し、同様に3Dデータ上でも同じ位置にくるようにターゲットをセッティングする。その設定でARとして実写と3Dデータを合成してみると、ターゲットに近い下の方は問題ないが、上部に行くにつれて誤差が大きくなっていくのが確認できた。つまり床置きの平面のターゲットの場合、高さ方向に対してのパースの歪みは補正することができないことが原因だと考えられる。今度ターゲットの置き方やマルチターゲットといった機能について今後研究を進めていく必要がある。またヘッドマウントディスプレイHTC社ViveやMicrosoft HoloLensにおいても本研究で使用可能性かどうか検討を行った。Viveは実写合成を行ってはいないが、任意視点や空間移動にまで対応しており、デバイスを付けたり外したりするわずらわしさがあるものの、実際の像と3Dデータの確認は可能ではある。HoloLensではそれに加えてデプスセンサーや環境認識カメラを用いて3D空間をスキャンすることで空間認識しており、より高い精度で表示することが可能であると考えている。