著者
山田 修
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.64-67, 2015 (Released:2018-04-12)
参考文献数
11

泡盛麹菌がAspergillus luchuensisとして初めて記載されて以来,100年以上の年月が過ぎたが,この間,焼酎・泡盛麹菌を含む黒色Aspergillusの分類は長きに渡り混乱状態が続いてきた。著者は数年来,分子系統解析やトキシン生産性試験の結果に基づき,黒麹菌の再分類を提唱してきたが,最近その取り組みが実を結び,海外の分類の専門家を交えた検討の結果,黒麹菌はA. luchuensisとして,A. nigerなどのクロカビと別種として分類されることが改めて確認された。本稿では,分類が混乱した原因も含めて黒麹菌の再分類に至る経緯を概説し,これまで記載された主な黒麹菌の素性を振り返っていただいた。
著者
山田 修三 Shuzo Yamada
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-58, 2019-02-28

思春期の少女と母親の対立関係を解消するため、コーピング・クエスチョン等の解決志向アプローチ及び循環的質問法による支援をおこない、サブシステムである親子関係を相称的対立からメタ補足性に変容させて親子関係の改善を図った。そこで、解決志向的アプローチ及び循環的質問法が、本事例においてクライアントである家族とソーシャルワーカーとの面接に及ぼした効果について考察したものである。
著者
山田 修
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.665-669, 2008-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

麹菌と近縁のA. flavusはカビ毒アフラトキシンを生産する。麹菌はアフラトキシンを生産しないことはすでに多くの研究により証明されているが, ゲノム解析に使用されたRIB40株には, アフラトキシン生合成に関与する遺伝子群が染色体上にクラスタを形成していることが報告された。そこで, 酒類総合研究所に保存されている多数の醸造用麹菌株について調べ, 麹菌がアフラトキシンを生産する能力を持たないことを分子生物学的に明らかにした。筆者らの研究は, 麹菌の安全性を示すとともに, 麹菌のルーツをさぐる糸口を与えるものである。
著者
山田 修三 Shuzo Yamada
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.48, pp.117-124, 2020-02-28

保育所保育指針は、平成29年の告示で3度目の改訂が行われ、これまでの「保護者支援」が「子育て支援」という名称に変更された。そこで、保育者は子育て支援において、どのような理論に基づき、子どもとその保護者に関わればよいのか、支援のあり方について検討した。 保育者による子育て支援のあり方を検討するにあたり、保育所保育指針第4章「子育て支援」の内容、及び現代の子どもと保護者を取り巻く養育環境を社会的背景から考察した。 もって、「子育て支援」におけるソーシャルワークによる支援が有効であると考え、保育者がソーシャルワークを活用する上での留意することを福祉心理学的な視座から論考した。
著者
山田 修司 中西 康剛
出版者
京都産業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

結び目理論においては、近年、量子不変量と呼ばれる一連の不変量が発見され、精力的に研究されている。また、結び目理論は、低次元幾何学特有の複雑な現象が見られる分野でもある。当研究では、その複雑な現象と不変量とを暗号理論に結びつけて、新しい公開鍵暗号システムを構築することにあった。公開鍵暗号システムを構築するには、逆関数は存在しているが、その計算は非常に困難であるような、落とし戸関数と呼ばれる関数が必要となる。当研究においては、その関数を結び目の複雑性に求めた。研究成果として、研究代表者は、結び目ダイアグラムおよび組み紐群を用いた、新しい暗号システムの素案を考え出した。結び目ダイアグラムを用いたものは、ダイアグラムを表すコード列である、P-dataと呼ばれるものを暗号化のためのデータとして用いるものである。平文のデータを用いてP-dataを作り、それに適当な交点情報を付け加えてできる結び目ダイアグラムをライデマイスター変形を行うことにより、暗号化を行う。また、組み紐群を用いた暗号システムには、韓国の研究者グループが先鞭を打っているが、当研究においては、彼らの実績をふまえつつ、暗号化手続きにさらに複雑な手順を施し、暗号の保守性を高めたものを考案した。しかしながら、どちらの暗号システムにおいても、暗号化のための効果的なアルゴリズムの存在と、暗号の保守性とを両立させるものを構築するには、至らなかった。
著者
清水 一広 川添 祥一 山田 修 長瀬 英生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.784-790, 1985-08-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

The present study was undertaken to determine if adenosine triphosphate-magnesium chloride (ATP-MgCl2) would have beneficial effects on the membrane electrolytes transport and deformability of shocked red blood cells (RBC) with impaired cellular energy metabolism. Shocked RBC suspensions were obtained by incubation of 10% rabbit RBC suspension in phosphate buffered saline at 37°C for 14 h. Cellular ATP level was reduced to approximately 6% of normal value by this incubation. ATP-MgCl2 (100 μM), added to the incubation medium along with glucose (10 mM) after 14 h of incubation, significantly prevented further decreases in cellular ATP and 2, 3-diphosphoglycerate (2, 3-DPG) levels. Increases in intracellular sodium concentration and potassium leakage from RBC were counteracted by simultaneous ATP-MgCl2 and glucose treatment and pH of the incubation medium showed significant reduction compared with the control. It was also observed that glucose utility and deformability of shocked RBC were improved by ATP-MgCl2 and glucose treatment. These results indicate that ATP-MgCl2 would be helpful to restore the impaired RBC function by improving the intracellular energy metabolism.
著者
丹羽 義信 青井 潔 山田 修治
出版者
中部大学
雑誌
国際関係学部紀要 (ISSN:09108882)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.57-78, 1998-03-25
著者
福田 央 韓 錦順 水谷 治 金井 宗良 山田 修
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.273-314, 2017 (Released:2022-12-05)
参考文献数
12

焼酎の84種類の揮発性成分をSPME法とヘッドスペース法を用いて分析した。泡盛及び甘藷焼酎の揮発性成分間の相関解析を行った。その結果,中鎖脂肪酸エステル類間及び高級脂肪酸エチルエステル類間で相関性は全体的に高く,生合成系や化学構造の類似性が寄与していると推定された。モノテルペンアルコール類間及び低沸点エステル類間では高い相関性を示す成分について生成経路を推定した。フルフラールは意外にもアルデヒド類と相関性を示した。この他,泡盛及び甘藷焼酎において,個別に高い相関性を示す成分について考察を加えた。
著者
山田 修 安藤 貴洋 西 友美 布施 まどか 新田 裕志 瑞慶山 良松 松田 康孝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G1142, 2007

【目的】在院日数の短縮化で入退院が激しいことや高齢化に伴い、認知症や視力・聴力機能低下の患者が増えていることなどから転倒などのインシデントが発生しやすい状況になってきている。平成16~17年の2年間の当院リハビリテーション科(以下リハ科)でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査し、事故を未然に防ぐ対策を提示したい。<BR><BR>【方法】上記2年分のヒヤリハット報告書を集計し、得られたデータを基に分析し、過去の文献との比較・検討を行った。<BR><BR>【結果】リハ科のヒヤリハット件数は整形外科が15件(55%)を占め、神経内科8件(30%)、脳神経外科3件(11%)となっていた。内容別の件数では、転倒が67%と全体の2/3を占め、点滴抜去が11%、私物破損と膝折れ、しゃがみこみが7%となっていた。年齢別での転倒件数は、70代が5名と最も多く、次いで50代が3名と続いていた。科別患者ごとの転倒割合をみると、神経内科が1/1000回と頻度としては最も多かった。また大阪府内の同規模病院と比較して、当院のセラピストの人数が1/2~1/3程度となっていた。転倒の要因で最も多かったのは、介助方法や介助位置によるもので、9件だった。次いで疾患、機能レベル、合併症考慮が5件となっていた。その結果、スタッフから出された転倒発生防止のための教訓として、介助方法や介助位置の再考が7件、患者の疲労考慮が3件、抑制帯を利用、練習方法の再考が2件となっていた。<BR><BR>【考察】対策として、まず治療者ファクターでは、できるだけリスクが高い患者はマンツーマンで訓練を行う。次に患者ファクターでは、患者個人の全身状態、性格を把握し、ミーティングでスタッフ全員が情報を共有する。さらに施設・システムのファクターでは、リハ開始時に転倒注意喚起のためのパンフレットの作成を予定しており、またリハスタッフの増員も必要と考える。転倒のリスクアセスメントにおいて現在各セラピストの主観的評価に頼っているのみで、統一した方策を行うには至っていない。アセスメント項目として文献に挙げられていたものは、転倒経験、歩行レベルや可動性、精神(知的)状態、歩行補助具や車椅子の使用、排泄等であった。今後データを蓄積し、リハ科独自のアセスメントツールを作成することで転倒予防の効果を挙げることが可能と思われる。<BR><BR>【まとめ】上記2年間の当院リハ科でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査した。また文献との比較も行い、事故を未然に防ぐ対策を提示した。今後ハイリスクの患者をアセスメントで抽出し、マンツーマンで訓練を行うなどの対策を行っていく。
著者
小出 瑞康 関崎 敬広 山田 修一 高橋 勉 白樫 正高
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.77, no.775, pp.702-714, 2011 (Released:2011-03-25)
参考文献数
11
被引用文献数
5 4

The target of this research is to develop a micro electric power generator for a low cost small river monitoring device. First, the power generation by VIVs, its efficiency coefficient and the optimum condition of the generator were estimated from energy balance analysis based on the assumption that VIVs can be regarded as a resonance oscillation of a linear system. Second, water tunnel experiments were carried out and it was confirmed that the trailing vortex induced vibration (TVIV) occurs on a cruciform circular-cylinder/strip-plate system over a velocity range about 15 times wider than that of Karman vortex induced vibration (KVIV). Finally, power generation experiments were carried out by utilizing TVIV. The generator circuit consists of coils mounted on the circular cylinder vibrated by TVIV and magnets fixed on rigid supports. The generator is shown to extract energy from the water flow in the same way as a viscous damper over the expected velocity range. Although the efficiency coefficient of TVIV is lower than that of KVIV, it is more appropriate for natural rivers of which flow velocity changes greatly.
著者
山田 修司 菅野 仁子 宮内 美樹
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MPS-92, no.1, pp.1-5, 2013-02-20

重力のように単一方向の力ではなく,分子間力のような粒子間引力が働いている環境における球充填シミュレーションのための高速アルゴリズムを考案した。これにより,107 個を超す球の充填シミュレーションを,パーソナルコンピュータを用いて 30 分未満で行うことが可能となる。