著者
白石 一成
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.119-120, 2003 (Released:2011-03-05)

ホシガレイ、Verasper variegatusは本州東北地方以南の沿岸各地の砂泥底に棲息する異体類であり、市場では活魚としての出荷が多い高級魚である。このため、近年では種苗生産に関する技術開発や人工孵化稚魚の放流並びに追跡調査も行われている。ホシガレイの食性については、口器の形状から海底表面を匍匐生活する甲殻類を捕食するとされ、このことを支持する数多くの知見が報告されている。ホシガレイは甲殻類を選択的に捕食するという共通認識ができあがりつつあった。著者らは、宮城県北部志津川湾においてホシガレイ放流魚の追跡調査の一環として食性調査を実施し、星口動物のスジホシムシ、Sipunculus nudusが、胃内容物全部を占める形で認められるというこれまでにない知見を得たので報告する。
著者
白石 一成
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.119-120, 2003-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Many scientific papers and reports state that the spotted halibut, Verasper variegatus, preys on crustaceans selectively, and the oral organs are formed suitably for taking crustaceans creeping along the bottom surface. In Shizugawa Bay, we are tracing released halibuts which were artificially produced and reared. To study the feeding habit of the halibut, prey items found in their stomachs were investigated, and the sipunchroid, Sipunculus nudus, was found to be the main prey item. This result shows that the halibut preys on various species available, including sipunchroids.
著者
白石 一成
出版者
宮城県水産研究開発センター
巻号頁・発行日
no.3, pp.45-51, 2003 (Released:2011-03-05)

宮城県北部の浅海岩礁域5箇所において、アワビ類とウニ類、海藻類および植食動物、肉食動物の現存量調査を実施した結果、キタムラサキウニでは水深が深い所により多く、無節サンゴモとの関連がみられた。更に、植食動物のクボガイではホンダワラ類のアカモクや小型海藻類を、バテイラでは大型海藻類のアラメを餌料および棲息場として利用していると考えられた。エゾアワビでは、その出現がアラメの分布と関係することから、バテイラとの間で餌料の競合関係にあるとみられた。また各箇所で、アワビ類、ウニ類および植食動物は、餌料となる海藻類に制約される形で出現していることも明らかとなった。一方、肉食動物のヤドカリ類とイトマキヒトデは各箇所で出現が認められたが、海藻類の少ない箇所ではヤドカリ類が多く出現しアワビ類等の幼稚仔がより捕食され易い状況にあるものと考えられた。