著者
白石 良夫
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.53-60, 2014-01-10 (Released:2019-01-26)

一 「「羅生門」の下人の恐怖」羅生門の楼上で「頭身の毛も太る」ように感じた下人。その「頭身の毛も太る」を「恐怖のために髪が逆立つように感じられる」と説明するのが教科書の註釈であるが、下人の心理を辿ってゆくと、そのような解釈が成り立たないことを指摘する。二 「李徴はなぜ「狂悖の性」を抑えることができなかったか」「山月記」の李徴の「狂悖の性」を「きちがいじみてわがままなさま」とする教科書の註は、儒教思想史の常識からいえば、漢学の家の人、中島敦の作品の読み解きとしては、間違っていることを指摘。三 「作者は本当のことを書くか」虚構であることが自明の文学作品に、わざわざ架空であることの註釈をつけることが意味のない行為であることを指摘。作品の嘘を無視して、作者の実像を穿鑿することは文学の読み解きとは無関係であることを述べた。
著者
中尾 友香梨 日高 愛子 白石 良夫 大久保 順子 土屋 育子 沼尻 利通 亀井 森 三ツ松 誠 谷口 高志 田中 圭子 中尾 健一郎 村上 義明 二宮 愛理 脇山 真衣 河野 未弥 明石 麻里
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、肥前小城藩の藩主家と藩校に伝わっていた蔵書群である小城鍋島文庫の典籍を調査し、具体例として当文庫所蔵の『十帖源氏』を輪読・翻字し、分析を加えた。主要なる成果物として、2017年5月に『小城鍋島文庫蔵書解題集(試行版)』を刊行し、また2018年3月に笠間書院より『佐賀大学附属図書館小城鍋島文庫蔵「十帖源氏」立圃自筆書入本 翻刻と解説』を出版した。