著者
百瀬和夫
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.175-185, 2012-03-31

小学校や中学校における『学級崩壊』や『校内暴力』『いじめ』などの問題は,長年にわたり教育現場の課題となっている。 こうした子どもたちの『荒れ』を整え,より安定した心の状況を図るために,特別支援教育の知見をいかした実践を学校での教育活動に取り入れていくことは,学校運営の安定化を図るツールとして,非常に大きな力になる。即ち,特別支援教育の知見を通して,認知レベルまで『子ども理解』を深めることは,子どもたちの『困っているところ』をとらえるだけではなく,教師自身の『指導理解』を深め,より適切な指導や支援につながるからである。しかしながら,特別支援教育の知見を活用し,教師が長年続けてきた指導法を改善・改良していくことは決して容易ではない。なぜなら学校組織の問題教師の仕事上の特性に伴う心理上の問題など,『大人(教師)の側の問題』を克服していく必要があるからである。私自身が校長として赴任したM小学校での取り組みをもとに,まずは特別支援教育の知見の活用を阻む諸原因について明らかにした。