著者
益田 重明 小尾 晋之介
出版者
慶応義塾大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

回転座標系における境界層では、凹面上の境界層におけるゲルトラ-渦と類似の縦渦の形成から乱流遷移が始まることが知られており、コリオリカ不安定による三次元微小撹乱の線形成長として説明されている。本研究ではこれに続く撹乱の非線形成長の過程、すなわち二次不安定について実験的に調べた。先ず、波長の異なる撹乱を人工的に与えてゲルトラ-渦に発生状況を観察し、波長選択の機構について検討した。その結果、撹乱波長が過大の場合には発生した縦渦の分裂(splitting)が、また過少の場合には合体(merging)が起こり、最終的に特定の波長に漸近する傾向を示すこと、この特定の波長は人工撹乱を加えない自然の状態で観察されやすい波長に近いことを見出した。さらに、このスパン方向二次不安定に続いて流れ方向に周期性を持つ別の二次不安定(流れ方向二次不安定)が発生すること、これには馬蹄渦モードと正弦波モードがあること、モード選択には一次不安定(ゲルトラ-渦)の波長のほかに、二次撹乱の対称性が関わっていること、流れ方向二次不安定の発生と同時に壁面近傍に強い速度変動が新たに生ずることを明らかにした。さらに、上記の二次不安定は縦渦によってもたらされる速度分布の空間変化の振幅が主流速の40%程度、境界層厚さを基準としたゲルトラ-数が約130に達した段階で発生すること、これらは凹面境界層における従来の結果とほぼ一致することを明らかにした。さらに線形撹乱方程式の形から、遷移初期の縦渦形成段階は少なくとも遠心力とコリオリカに関する限り外力の種類によらないこと、非線形段階に達して二次不安定が発生する状況に至っても、外力型不安定から変曲点型不安定に切り替わることによって、やはり外力の有無や種類に関係しない、縦渦を伴う遷移に共通の現象であることを示唆した。一般の乱流遷移の終期段階における縦渦の重要な役割が知られており、本研究の成果はその解明にとって新たな知見を与えた。
著者
皆川 佑介 小尾 晋之介 益田 重明
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.390-391, 2002

An experimental study has been conducted for a round jet impinging perpendicularly onto a rotating disk. The mean velocity and turbulence statistics are measured by a single component LDV. The jet is issued from a pipe, in which the fully developed turbulent flow is ensured. The disk is set 5 diameters from the pipe exit. The Reynolds number based on the bulk velocity and the pipe diameter is set constant at 1.4E4 while the rotation speed of the disk has been varied between 0 and 1,500rpm. The velocity components in radial and circumferential directions are measured at some selected radial locations. The effect of the disk rotation has not become remarkable until the rotating speed of the disk reaches certain value, which has been indicated by the reduction of the half-width of wall-jet and the increase in the maximum radial mean velocity. The changes in the circumferential velocity component and in the turbulence statistics are fond to be marginal.
著者
益田 重明 児山 秀晴 有賀 一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.49, no.437, pp.p81-90, 1983-01

固定軸のまわりに一定角速度で回転する乱流せん断流を,レイノルズ平均法を用いて予測する際に必要な乱流モデルについて検討した.モデル定数が回転に依存しないことを主眼として,レイノルズ応力方程式の高レイノルズ数モデルを導き,回転流路内の二次元乱流境界層における実結果と比較した.その結果,回転場での経験則を全く用いずに,平均場および乱流場に対する回転の効果を正しく予測することができることが示された.