著者
福﨑 健太 目崎 文崇 三宅 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.II_143-II_149, 2019 (Released:2020-03-16)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本研究は,平地河川における出水攪乱に対する底生動物群集の反応を明らかにすることを目的とした.愛媛県道後平野を流れる12河川に調査地を設定し,出水攪乱の発生前後に底生動物およびその生息場所環境に関する調査を行った.この結果,生息密度が出水攪乱後に全調査で減少した一方で,分類群数は3調査地で増加していることが明らかになった.群集構造解析の結果により,これら調査地では出水攪乱前に汚濁耐性種が優占していたが,攪乱後には清冽な河川に分布する分類群が増加していたことが明らかになった.さらに,集水域特性と攪乱前後の分類群数の変化率との関係より,当該地点では出水攪乱により清冽な環境を選好する分類群の新規移入が上流の山地区間から起こり,その結果として分類群数が増加したものと考えられた.